つらい時に聴くと「自分を肯定してくれる」――緑黄色社会の音楽に集まる共感
SNSからバンド結成へ。人生が開いた瞬間
緑黄色社会は、ボーカルの長屋晴子(27)、ギターの小林壱誓(26)、キーボードのpeppe(27)、ベースの穴見真吾(24)の4人組で、全員が曲を作る。例えば「Mela!」は、peppeがアイデアを出し、穴見と曲に仕上げ、小林の書いたプロットをもとに長屋が言葉を起こした。それぞれが初めて組んだバンドで、10年の間に一緒に成長しながらチームワークを築いてきた。 バンドの始まりはSNSだった。幼少期から歌や音楽が好きだった長屋は、小学校の頃にピアノやトロンボーンを習い、中学校では吹奏楽部。いきものがかりなどに憧れて、軽音楽部のある高校を選ぶ。入学前にSNSでつながったのが、同じ高校の「軽音楽部志望」とプロフィール欄に記す小林だった。 小林は母親がダンスの先生で、幼い頃からジャズダンス、クラシックバレエ、ヒップホップダンスなどを習い、さまざまな音楽で踊ってきた。中学の時、BUMP OF CHICKENなどを聴いてギターを始め、高校ではバンドをやると心に決める。そうして2人は、会う前からバンドを組むことを約束する。
入学式の日、長屋は同じくSNSでつながっていたpeppeに校門前で話しかけた。peppeは2歳からピアノを習ってきたが、高校進学を機にその道をあきらめたところだった。長屋に誘われ、「なんとなく楽しそうだから」参加することに。「あの日が人生の転機」とpeppeは言う。 それからまもなく、下校途中に高校の最寄り駅で「緑黄色野菜」を聞き間違えたことから、バンド名が「緑黄色社会」に決定。まだお互いの歌声も演奏も聴いたことがなく、長屋と小林は共にボーカル志望だった。小林はこう語る。 「中学2年生の時、歌がやりたくて、ボーカルトレーニングとか通ってたんですよ。でも、軽音楽部の部室で長屋の鼻歌を聴いて。『ああ、この人は絶対俺よりうまい』っていうのが、一瞬で分かった。それでもう、自分はギタリストに(笑)」