エヌビディア株急落、2789億ドル吹き飛ぶ-米1銘柄として過去最大
(ブルームバーグ): 世界的なリスク資産離れの波に米株価が急落してから約4週間後、半導体メーカー株売却の動きが新たな株安をもたらした。業界アナリスト2人が人工知能(AI)を取り巻く熱狂は行き過ぎだと懸念を再び提起した。
レーバーデー連休明け3日の米株式市場で、AI向け半導体メーカー大手エヌビディア株は9.5%下落し、2789億ドル(約40兆5460億円)が吹き飛んだ。米1銘柄として過去最大となる。
エヌビディアが先月28日に発表した売上高見通しが投資家の高い期待に届かず、同社株のその後の3営業日の下落幅は計14%に達している。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)を構成する30銘柄は3日にいずれも少なくとも5.4%の下落となり、SOXは2020年3月以来の大幅下落を記録した。
オン・セミコンダクターとKLA、モノリシック・パワー・システムズは9%強下げて、ナスダック100指数の下げ幅は3.2%近くに達した。
エヌビディアの反トラスト法(独占禁止法)違反の証拠を求め、同社や他の企業に米司法省が文書提出命令状を送付したのを受け、エヌビディア株は通常取引終了後の時間外取引で一時さらに2%下落した。
エヌビディアに米司法省が文書提出命令、反トラスト法調査本格化
9月は歴史的に見て、株式にとってボラティリティーが高い月だが、そのスタートが波乱含みとなったのには他にも理由がある。
中国の成長を巡る懸念で、石油や銅などの商品相場に動揺が広がったほか、米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数は5カ月連続で活動縮小となる一方で仕入れ価格指数は上昇し、インフレタカ派には潜在的に憂慮すべき兆候を示した。
ただ、テクノロジー株下落の最も強力な契機となったのは、AIが世界経済を刷新するとの見通しが実現されるには程遠く、膨大なバリュエーションを正当化するのは困難だとする新たな警告だ。
JPモルガン・アセット・マネジメント(JPAM)とブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)がそれぞれこうした趣旨の見解を示したもので、このうちJPAMのマイケル・センバレスト氏は、テクノロジー以外の企業からのAIサービス需要が増加し始めない限り、AIへの支出は正当化されないだろうと警告した。