指摘されて気がついた「機能不全家族」という現実。壮絶すぎる子ども時代【漫画家インタビュー】
耳かき専門店での勤務経験を基にしたオリジナル漫画をSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”に浸かってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな想いを抱える客たちとの出会いを通じ、強すぎる自己否定感と向き合っていく姿を温かいタッチで描く。耳かき専門店の知られざる裏側とは。著者の森民さんに、第8話についてお話をうかがった。 【漫画】『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』を読む
漫画家を目指すも落選が続き、アルバイトもミス連発で長続きしない主人公。自己否定の“沼”に浸かってしまう中、たどり着いた仕事が「耳かき専門店」だった。指名が取れない悩みを同僚に相談したところ、「機能不全家族」ではと指摘を受ける。それをきっかけに子ども時代の記憶を語り出して……。
家族に関する悩みを漫画で表現したからこそ得られた共感
――家族に関するエピソードに生々しさを感じつつ、主人公が「私のせい」と口にする場面は印象的でした。作品の根幹に関わる内容だと思いますが、描くに至ったきっかけを教えてください。 自己否定の“沼”にハマることになった根本的な原因なので、テーマ的に避けては通れないエピソードだと思い、自分の過去と向き合う話を描かせていただきました。 今まで家族に不満などをぶつけてこなかったので、自分の胸の内をそのまま漫画にすることに抵抗はありました。家族も読んでくれているので、この内容を描いたら嫌われたり怒られたりしないだろうか……と心配しましたが、最終的には覚悟を決めて描きました(笑)。 ――エピソードが公開されたときの反響は? 意外にも周りの友人や読者の方からは共感の声を多くいただきました。なかには同じように、幼い頃の心の傷が癒えていないことを告白してくれた方もいました。言葉ではなく漫画にすることで共感が生まれたのかなと思い、勇気を出して描いてよかったなと感じました。 ――同僚の方たちが温かく励ましてくれていますが、場の雰囲気はどんなだったのでしょうか。 こんな話をしたら引かれちゃうんじゃないか、重たい話をしてごめん……と思っていたのですが、意外にも温かい反応をもらえて安堵した記憶があります。逆にパーソナルな情報を開示することで、距離が近くなったのかもと思いました。 やる気はあれど、自己否定感で苦労する自分との向き合い方を実体験ベースに描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。森民さんの耳かき専門店での奮闘ぶりと発見の日々をご覧いただきたい。