知的好奇心を刺激する展示4選。
山下陽光のおもしろ金儲け実験室 @生活工房ギャラリー
本人曰く「低クオリティ」で、しかし販売すれば即完の人気リメイクファッションブランド〈途中でやめる〉を主宰し、インターネットラジオや写真家と編集者によるユニット「新しい骨董」など、多彩な活動で知られる山下陽光。その魅力は、既存の価値を転換するような彼の”思いつき”とその実験と実践にある。本展では、設立20周年を迎えた〈途中でやめる〉の200点以上の新作をはじめ、個人出版、口コミ、フリーマーケットでの仕入れ、野生のワサビにヒントを得た絵画など、600点以上の展示品から、著書『バイトやめる学校』から深化した「おもしろ金儲け」なる”あたらしいお金の稼ぎ方”を来場者とともに探る! 予定されているトークイベントもかなり面白そうなので要チェックだ。 さーて、9月はどんな展示に行こうかな。
インフォメーション
『山下陽光のおもしろ金儲け実験室』 会場:生活工房ギャラリー(3F) 会期:2024年09月03日(火)~2024年12月26日(木) 時間:9:00~21:00 休み:月曜(祝日は除く)※11月10日(日)は設備点検のため休室 料金:入場無料
探偵小説の世界へようこそ @国立国会図書館ギャラリー(東京本館)
「(略)ミステリにふさわしいのは、時代遅れと云われようが何だろうがやっぱりね、名探偵、大邸宅、怪しげな住人たち、血みどろの惨劇、不可能犯罪、破天荒な大トリック……絵空事で大いにけっこう。…(略)」なんて登場人物のセリフから始まるのは日本における新本格ミステリブームの火付役となった『十角館の殺人』(綾辻行人・著/講談社)だ。Wi-Fiだらけで、古典的な推理物が通用しないように思われる現代だが(安心安全ということなのだが)、やっぱり推理ものって魅力的。本展は、欧米の”detective novel”が輸入された明治期から、「推理小説」という言葉が戦後に普及するまで特に広く使われていた語である「探偵小説」に着目。国会図書館ならではの丹念かつ詳細なデータと、翻訳と創作の歴史、名探偵のキャラクターやトリックの魅力を切り口に、須藤南翠や黒岩涙香ら日本における探偵小説の始まりから、探偵小説を構成する諸要素を貴重な資料をもとに展示中。工藤新一くんが実在したら絶対足を運んでいただろう! ネット上でも本展の元になったミニ電子展示を閲覧できるので、直接伺うのが難しい場合でも、まずはここから楽しんでみよう。