一過性ブームではない?「脱プラスチック化」はどこまで進むか
プラスチックごみの海洋汚染への関心が世界的に高まる中、各国政府はレジ袋や使い捨て容器などのプラスチック製品などの使用規制を打ち出し、飲食業界ではプラスチック製ストローの廃止を表明する企業が相次いでいる。プラスチックの代替素材にも注目が集まり、関係業界は需要の拡大に期待する。こうした「脱プラスチック化」への動きは一過性のブームではなく不可逆的に進むと専門家は予想するが、私たちの社会は、はたしてどこまで「脱プラスチック化」できるのだろうか。
●紙製ストローに注目集まる
東京都庁内の喫茶店3店が昨年10月の1か月間、プラスチック製ストローの代わりに紙製ストローを試験的に導入した。実際に使ってみようと思い、そのうちの1店を訪れた。 封を切って取り出した白い紙製ストローは、表面に斜めの継ぎ目があり、少し硬い。鼻を近づけてみたが、特に紙っぽい匂いはしなかった。コップに挿してアイスコーヒーを吸い上げてみた。プラスチック製ストローを使ったときと味わいは変わらず、唇の感触も特に気にならない。ただ10分以上経つと、表面の継ぎ目がコーヒー色ににじみ、ストロー全体も柔らかくなった。プラスチックとの耐久性の差を感じたが、短時間で使い終えるなら問題はないとも思えた。 飲食業界では、プラスチック製ストロー削減の取り組みが先行している。国外ではスターバックスやマクドナルドが廃止に向けて取り組むほか、日本でもすかいらーくホールディングスが昨年12月、レストラン「ガスト」の全1367店で提供を中止。デニーズも2月から、ドリンクバーで提供してきたプラスチック製ストローの提供を原則中止した。
こうした動きを受けて、プラスチックの代わりに紙を使ったストローが注目されている。「紙製ストローの需要は昨年度はほぼゼロだったが、今年度は数百%増になる見込み」と語るのは、紙商社の丸紅紙パルプ販売の堀内勝専務。昨年の後半以降、外食業界や飲料業界、ホテル業界各社の問い合わせや注文が急増したという。 紙製ストロー市場への新規参入を目指す製紙メーカーもある。国内製紙大手の日本製紙は、昨年前半から紙製ストローの製品開発に着手。安全性の検証と耐久性の向上を図り、できるだけ早期に製品提供を開始したいとしている。 紙以外の代替素材も関心を集めている。すかいらーくホールディングスは、一般的なプラスチックよりも自然界で分解しやすい生分解性プラスチックを使ったストローの導入を予定する。