一過性ブームではない?「脱プラスチック化」はどこまで進むか
容器包装プラスチックを使用する業界でも、代替素材への転換を検討、あるいはすでに実施する動きが出ている。インスタントラーメンの業界団体、世界ラーメン協会は昨年8月、ラーメンの袋やカップめんの容器などの容器包装プラスチックを生分解性材料に置き換える方針を発表した。協会に加盟する日清食品ホールディングスの広報担当は「置き換える時期は未定だが、業界全体で取り組むことで合意した。当社で進ちょくを伝えられる段階にはないが、研究は以前から続けている」と明かす。ファッションブランドのH&Mジャパンは昨年12月から、店舗で使用するプラスチック製レジ袋を紙製に切り替え、かつ有料化した。 国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターの田崎智宏室長は、こうした使い捨てプラスチック製品の使用を減らす取り組みは、一過性のブームではなく、今後も継続するとみている。「以前にもレジ袋の有料義務化についての議論が行われたが、社会全体の問題意識がまだ弱く実現しなかった。今は政財界のトップを含め人々の認識も変化しており、社会におけるプラスチックに対する考え方が不可逆的に変化するのではないか」
●完全「脱プラ」時代は来ない?
容器包装のうち、清涼飲料水の容器に使うペットボトルについては、代替素材に切り替える動きは目立たない。飲料業界の団体や企業は、代替素材への転換ではなく、回収率の向上や有効利用の推進によって、ペットボトルなどの容器ごみを減らす姿勢を示している。 飲料メーカー各社が加盟する全国清涼飲料連合会は昨年11月、2030年度までに回収されたペットボトルの100%の有効利用を目指すと宣言した。同連合会によると、有効利用とは、リサイクル及び熱回収(燃やして得た熱エネルギーを利用)を指す。今後、容器包装の分別回収やポイ捨てを防止する活動の強化などによって目標の実現を目指す。飲料メーカーのコカ・コーラも昨年1月、商品に使うすべてのペットボトル・缶の回収とリサイクルを2030年までに進めると発表した。