一過性ブームではない?「脱プラスチック化」はどこまで進むか
プラスチック製品の中でも、なぜストロー削減の動きが先行したのか。丸紅紙パルプ販売の堀内専務は「EUの方針発表とともに、ウミガメの鼻に詰まったストローを取り出す様子を撮影した動画がネット上で注目を集めたのも契機になった」と話す。デニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズの広報担当者も、この動画がプラスチック製ストロー廃止の1つのきっかけになったと説明する。
●プラスチック代替素材を探る動き
プラスチック製ストローは、あくまでプラスチックごみの一部に過ぎない。プラスチックごみの中で多数を占めるのは、食品の容器や包装、レジ袋などの容器包装プラスチックによるものだ。国連環境計画(UNEP)の資料によると、2015年に世界全体で発生したプラスチックごみの約50%を占める。日本でも、2016年のプラスチックごみの排出量899万トンのうち、容器包装プラスチックは45.3%の407万トンと半分近くに及ぶ。 容器包装プラスチックについて、代替素材・製品を開発、提案する動きがある。紙商社の日本紙パルプ商事は昨年9月、自然界で分解しやすい紙コップを発表した。通常、紙コップの内側には液体を入れても漏れないようにプラスチックフィルムが貼られているが、このフィルムに生分解性プラスチックのポリブチレンサクシネート(PBS)を採用した。同社の機能材・情報用紙営業本部の松浦久和課長は「国内のコーヒーチェーンや映画館などのアミューズメント施設のほか、プラスチックコップの成形メーカーからも問い合わせがある」という。
この紙コップ用のPBSを供給するのは、三菱ケミカルとタイの石油化学メーカー、PTTグローバルケミカルの合弁会社。親会社の三菱ケミカルには、食品の包装袋などへの活用を検討する国内の食品メーカーや流通大手などから問い合わせがあるという。三菱ケミカルの漆坂雅弘グループマネジャーは「アメを包むフィルムのように小さくてごみになりやすい包装や、残滓(ざんし)が付着してリサイクルが困難な食品の包装は、用途として適している」と容器・包装への採用拡大に期待する。