【三ツ星シェフの新レストラン】注目の「フォーシーズンズホテル大阪」に新たにオープンした「鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ」
アレノシェフとヤニック・アレノグループシェフの廻神(めぐりかみ)シェフ。たくさんのお店をふたりで築いてきている。 おまかせコースは、「エモーション」と名付けられた前菜4種、握り、デザート4種の3部構成。 ガリがりんごでできていたり、酢の役目をピクルスが担っていたり、エシャレットや揚げしょうががポイントに使われていたり、その計算され尽くした隠し味の素晴らしい感性は、鮨好きにこそ味わっていただきたいと思う。
「トロマヨです」とアレノシェフの片腕の廻神シェフにいたずらっぽく出されたのは、大トロにゆで卵とねっとりとしたプルニエのキャビアが乗ったもの。 濃厚なのに、ゆで卵で作ったマヨパートにきれいな酸があり、生臭くなくまとまっていて、さすがの逸品。
牡蛎、麒麟菜、米のクリームは、鮨飯を半殺し(半分程度つぶす)にしたお米クリームに、軽く火入れをし、カットされた牡蛎と大葉ジュレにすだちをあしらい、カレー風味のあられを振っている。これも食べたことのない食感。 和でもあり、洋でもあるようで、牡蠣とクリーム、すだち、大葉がそれぞれ持つミネラル、酸、甘み、苦みが口の中でひとつになったとき、調和して新しい味わいが生まれていた。あられの食感とほのかなカレーのアクセントがまた効いている。緻密な計算。
お刺身は、ねっとりしてお酒が進む鰤の塩麹漬けと、しょうゆのほのかな香りと炭の香りに柚子がよぎる、中トロの炙り。ワイン好きでも刺身には、普段日本酒を合わせるのだが、これもまた、ワインにも日本酒にも合う。 どの日本酒もワインもペアリングはしっくり合っているが、特にIWA5という、ドンペリニヨンの5代目醸造最高責任者を務めたリシャール・ジョフロワさんがワインの手法アッサンブラージュを用いて作り上げた日本酒は、ワインのようなニュアンスもあり、この料理の流れのどれにもぴたりと寄り添っていた。
握りもまた、というか握りこそ、新しい体験! 先の料理から、エシャレットや揚げしょうがなどを忍ばせるテクニックは、通奏低音のようにこちらにも、使われていた。 写真は縞鯵。薄く切りつけて重ねる手法を光物にも用いている。 コシヒカリとササニシキのブレンドで作る酢飯の米粒がふわり立った握りはさすがの料理長の実力。