「父との電話で涙があふれました…」 コロナ禍で一人暮らしの大学生が追い込まれる孤独
追い詰められていることに気づかない
長野県出身で東京都内に一人で暮らす大学2年の櫻井悠乃さん(仮名)が、「いま思えば、うつっぽかったかもしれない」と感じたのは昨年7月半ばだった。 「3月ごろは感染者が増えても、友達と遊ぶ回数を減らすくらいでどこか他人事でした。でも、4月に入ると、家庭教師のアルバイトがオンラインに変わり、生徒の自宅に訪問することがなくなりました。以降、ほとんど家にこもる生活に。外出は近所のスーパーに食料を買いにいくときくらいでした」 大学は5月にオンライン限定で講義を再開。しかし、いざやってみると、オンライン講義は想像以上にきつかった。講義を受けた証しとして提出する課題のレポートは1日に3、4本。なかには1000字以上も書く課題もあり、部屋で一日じゅう調べたり書いたりという作業が続いた。 「とにかく量が多くて大変でした。朝から講義を受けて、課題にとりかかるのは夕方から。6月に家庭教師の生徒宅への訪問が再開したので、その日は課題ができず、土日も潰して取り組んでいました。疲労感がひどく、明日はこれをやらなきゃっていう焦りで頭がいっぱい。自分が追い詰められていることに気づけませんでした」
涙があふれた両親との電話
振り返ってみると、彼氏とのいさかいもそのころから増えだした。普段なら聞き流したり、軽口で返したりしていた彼の冗談も真に受けて、バカにされたように感じた。ふとしたことにイライラした。 「彼は実家暮らしで、4月からは電話で話すだけでした。電話の会話でもちょっとしたことに過敏に反応してしまう。後で謝るんですが、そういうことが何度か続いたので、こんな自分は嫌だなって思っていました」 6月は、頭痛にも襲われた。課題をしているとき、バイトで家庭教師をしているとき、寝ているとき。普段の片頭痛よりも頻発した。彼に相談すると、ノートパソコンの小さい画面でオンライン講義を受けているせいではないかと言われた。中古のデスクトップパソコンを購入したものの、頭痛は治まらず、食欲も落ちていった。