不可解な采配。ボリビア戦に森保Jの収穫はあったのか?
平成最後の日本代表戦で勝利した。ボリビア代表とノエビアスタジアム神戸で対峙し、1-0で下した26日のキリンチャレンジカップ2019の収穫をあげるとすれば結果だけだった。 コロンビア代表戦を含めた今回の3月シリーズは、どのように位置づけられていたのか。代表メンバー23人を発表した今月14日の記者会見で、森保一監督はこんな青写真を掲げていた。 「日本代表としてのベースをさらに広く、強固なものにしていけるように。そして、一部のコアな選手だけでしかチームが回らないということがないように。より多くの選手にチームの戦い方、コンセプトを理解してもらい、これから我々が臨む戦いに生かしていきたい」 指揮官の脳裏に描かれていたのは、アジアカップ決勝でカタール代表に完敗を喫した日本代表の底上げ。第2段階に入ったチーム作りで最大の焦点があてられていたのが、FW大迫勇也に依存していた攻撃陣の再編成だった。 アジアカップで背中を痛め、所属するベルダー・ブレーメンで欠場が続く大迫は選外となった。大黒柱を欠く攻撃を確立させるチャンスで、ともに代表初招集の鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)がコロンビア戦で、鎌田大地(シントトロイデンVV)がボリビア戦でそれぞれ先発した。 ともに大迫とはタイプが異なる。というより、18日から始まった代表合宿でポストプレーに長け、フィジカルの強さを生かしたボールキープ術の高さでも群を抜く大迫の代役は「できない」と口をそろえていた。その一方で、2人は招集されるに足る能力や実績を兼ね備えていた。 鈴木武蔵は縦へ抜ける爆発的なスピードを武器とし、シントトロイデンで12ゴールをあげている鎌田は2トップの一角でプレーしている。森保監督は新戦力にこう言及していたはずだった。 「誰が抜けても、そのときのメンバーや出ている選手でベストな戦いができるように考えていきたい。選手のよさを少しでも生かしていけるように、柔軟に戦えるようにトライしたい」 しかし、2試合における選手の組み合わせは不可解だった。鈴木のスピードを生かすのならば、トップ下にはタメを作ることのできる香川真司(ベシクタシュJK)が適任だった。しかし、コロンビア戦で先発した2列目トリオ、左から中島翔哉(アル・ドゥハイルSC)、南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(FCフローニンゲン)はボールをもてば縦へ速く仕掛けるプレーに終始した。