不可解な采配。ボリビア戦に森保Jの収穫はあったのか?
森保ジャパンにおいて、主力組が出ていた直近の試合から先発をすべて入れ替えるのはボリビア戦で3度目になる。昨年11月のキルギス代表戦はアジアカップ前の最後の一戦で、控えメンバーの力量を見極める狙いがあった。1月のウズベキスタン代表とのアジアカップ・グループリーグ第3戦は、すでに決勝トーナメント進出を決めた後で主力組を休ませる狙いがあった。 ひるがえって今回は、森保監督の意図が伝わってこない。ある程度の連携が取れるレベルに達している主力組と、ボリビア戦で代表デビューを果たした2人を含めた控え組。後者のなかから台頭し、既存の選手たちを脅かす選手たちがいただろうか。というよりも、実力を存分にアピールできる環境のもとでプレーできていたのだろうか。 堅守を誇ったボリビアの牙城に風穴を開け、日本を勝利に導いた値千金の決勝点が生まれたのは後半31分。相手のパスミスを拾った堂安がカウンターを仕掛け、南野を介して受け取ったボールを、中島がゴール左隅に叩き込んだ。 トラップから一瞬溜めることで対面のマーカーを動かし、開いた股間を狙って射抜いた中島は南野、堂安のトリオで熟成されているあうんの呼吸を強調した。 「どの選手ともやりやすいですけど、よりゴールに直結する動きが増えるのは確かだと思います」 後半16分に中島と堂安が、同23分に南野とMF柴崎岳(ヘタフェCF)が投入されるたびに森保ジャパンの攻撃は縦へのスピードを増していった。先制から2分後には再びカウンターから、中島が放ったミドル弾がゴールバーを叩いた。ただ、一連の流れるような攻撃は求めていた新発見ではない。 皮肉にも指揮官が危惧していた「一部のコアな選手だけでしかチームが回らない」状態を露呈して、平成最後の国際Aマッチシリーズは幕を閉じた。勝利以外にもたらされたものをあげれば、攻撃面はコアな選手の感性や閃きに委ねているのでは、という森保監督の采配に対する疑念だった。 (文責・藤江直人/スポーツライター)