エスパー伊東さん逝去。18年発表・治療していた「変形性股関節症」の原因や予防法を医師が解説
元お笑い芸人のエスパー伊東(本名・伊東万寿男=いとう・ますお)さんが、逝去されたことが明らかになりました。63歳でした。ボストンバッグの中に入るなど体を張った芸風で有名だったエスパー伊東さんは、「右変形性股関節症」の治療のために2018年いっぱいで芸能活動を休業されていました。 変形性股関節症は、痛みを主症状とする機能障害のことをいいます。歩くだけで痛みがでたり、夜間にも痛みが出て寝付けなくなったりと、日常生活に大きな影響を与えます。また、変形性股関節症はひどくなってしまうと手術が必要なほど重症になりやすくなります。そこで、本記事では変形性股関節症の症状や治療方法、日常生活での注意点などについて詳しく解説します。 ※この記事はMedical DOCにて【「変形性股関節症」のやってはいけないことはご存知ですか?医師が監修!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
変形性股関節症の原因と症状
編集部: 変形性股関節症とはどんな病気ですか? 甲斐沼先生: 変形性股関節症とは、関節の隙間が狭くなったり、関節の受け皿が小さかったりすることによって股関節に痛みが出現する機能障害のことをいいます。 少し難しいと思うので、股関節について簡単に説明します。股関節は、大腿骨(太ももにある骨)の上端にある骨頭と呼ばれる球状の部分が、骨盤の寛骨臼と呼ばれるお椀のようになっている部分にはまり込む形をしているのが特徴です。 変形性股関節症は、寛骨臼の形成が不十分であったり、骨頭と寛骨臼の間が狭くなりすぎてしまったりしていることで、股関節に痛みがでる状態です。 編集部: 変形性股関節症の原因を教えてください。 甲斐沼先生: 変形性股関節症は、男性より女性に多いという特徴があります。原因としては、発育性(先天性)股関節形成不全という赤ちゃんの頃の股関節の緩みが最も多く、変形性股関節症の80%程度を占めます。 発育性(先天性)股関節形成不全は、習慣的に赤ちゃんの足を伸ばしたままオムツを交換することで股関節が外れてしまうことが多いです。元々股関節が外れていなくても、加齢に伴い股関節の軟骨が擦り減って発症する場合もあります。 重い物を運ぶ仕事をしている人は、股関節に負担がかかるため軟骨が擦り減りやすく、変形性股関節症になる可能性が高いこともわかっています。 編集部: 変形性股関節症はどのような症状ですか? 甲斐沼先生: 変形性股関節症は、股関節の痛みと可動域の制限が主な症状です。症状は徐々に進行し初期の段階では、歩き初めに股関節に痛みがあらわれますが、歩いていることで痛みが引いてくるのが特徴です。 症状が進行してくると、痛みが強くなり長い距離を歩くことができなくなります。場合によっては、常に痛みを感じたり、夜間にも痛みがあらわれたりします。 股関節の可動域が制限されると靴下が履けなくなったり、正座ができなくなったりするため、日常生活に支障が出てくるので、痛みを感じたタイミングで整形外科を受診するようにしましょう。 編集部: 変形性股関節症になりやすい年齢は? 甲斐沼先生: 変形性股関節症になりやすい年齢は40~50歳といわれています。 発育性(先天性)股関節形成不全を原因として発症した人は平均37歳で痛みが出現し、加齢を原因として発症した人は平均50歳で痛みが出現したという研究があります。