エスパー伊東さん逝去。18年発表・治療していた「変形性股関節症」の原因や予防法を医師が解説
変形性股関節症の予防と日常生活での注意点
編集部: 変形性股関節症を予防する方法はありますか? 甲斐沼先生: 股関節への負担を減らし、大事に使うようにしましょう。薬や手術によって治療することはできますが、一度損傷した股関節が元通りになることはありません。いくら治療しても痛みが残ることもあります。 お子さんがいる場合には、発育性(先天性)股関節形成不全にならないように、オムツを変える時には注意しましょう。 変形性股関節症のやってはいけないことを教えてください。 必ずこれをやってはいけない、ということは特にはありません。 ですが、前述したように過度な運動や重いものを持つなど、予防のために股関節へ負担がかかるようなことはなるべく控えましょう。 編集部: 変形性股関節症の手術後の注意点を教えてください。 甲斐沼先生: 変形性股関節症の手術のうち、人工関節全置換術では以下の3点に注意が必要です。 ・脱臼 ・感染 ・深部静脈血栓症 脱臼とは、大腿骨の骨頭が寛骨臼から外れてしまうことです。脱臼のしやすさは、手術で切開する部分や使用する骨頭の大きさによりばらつきがあります。 初めて人工関節全置換術を行った時の脱臼頻度が1~5%、2回目以降で5~15%というデータがあります。つまり、一度脱臼した人は脱臼頻度が高くなるため、脱臼しないように気を付けましょう。 脱臼しやすい姿勢としてはしゃがみ動作のように股関節を大きく曲げることが挙げられます。手術の切開方向によっても脱臼しやすい姿勢は異なりますが、手術後主治医やリハビリの先生が教えてくれるはずなのでしっかり守るようにしましょう。 感染とは、手術部位の感染のことをいい、発生頻度としては0.1~1%程度です。感染も脱臼と同様に、2回目以降でリスクが高くなる傾向があります。深部静脈血栓症とは、手術の合併症で血管内に血の塊ができ、血管が詰まってしまう状態のことです。 ふくらはぎの血管が詰まってしまうことを深部静脈血栓症といい、これは20~30%と比較的高い頻度で起こります。術後は傷口の痛みがあると思いますが、なるべく足首をたくさん動かしてふくらはぎの血流をよくすることで予防効果が期待できます。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 甲斐沼先生: 変形性股関節症は、早期発見によって進行を予防することができます。女性の方や過去に発育性(先天性)股関節形成不全と診断されたことのある人は変形性股関節症を発症するリスクが高いです。 股関節への負担がかかりすぎないよう、普段の生活を見直してみましょう。