遅刻とミスを連発、社長にも逆ギレの28歳「問題社員」…それでも「すぐに解雇」は危険、適切な指導のポイント
度重なる遅刻や仕事のミス、周囲への配慮を欠いた態度などで職場に多大な迷惑をかける「問題社員」。はたして会社はどのように対応すべきなのか?適切な指導とパワハラの分かれ目は?前編記事〈遅刻とミスを連発する28歳「問題社員」にクレーム殺到も反省ゼロ…社長に叱られても「まさかの逆ギレ」〉に引き続き、ある食品加工会社の事例をもとに社会保険労務士の上岡ひとみ氏が解説する。 【一覧】入ると“損”する「私立大学」ランキング…コスパ最悪だった意外な名門大学 本記事の登場人物 上原社長:食品加工会社T社を経営。営業事務として斎藤さん(後述)を採用したものの、その問題行動の多さに、内心「解雇」を考え始めている。 上岡社労士:T社の顧問社労士。 斎藤さん:3ヶ月ほど前にT社に入社。遅刻を繰り返す、書類のミスが多い、仕事を教わる時にメモをとらないなどが積み重なり「問題社員」視されている。上原社長との面談で叱責されたが「パワハラだ」と逆ギレも。 *すべて仮名です
問題社員に向き合うときは「記録」が大切
上原社長は顧問の上岡社労士に相談しました。 「上原さん、まずは落ち着いて話を聞かせてください」 T社の顧問社労士を務める上岡ひとみ社労士は、穏やかな表情で上原社長の向かいに座りました。 「この3ヶ月で、こんなにも職場の雰囲気が悪くなってしまって……」 上原社長は深いため息をつきながら、斎藤さんの一件を説明していきます。 「なるほど。確かに問題のある社員さんですね。でも、すぐに解雇というのは危険です」 上岡社労士は、過去の判例が記された資料を取り出しながら説明を始めました。 「上原さん、ここで大切なのは『記録』なんです」 上岡社労士は、手帳を取り出しながら続けます。 「遅刻の回数、業務ミスの内容、指導の経緯...すべてを時系列で記録していきましょう。それと、もう一つ重要なことがあります」 「何でしょうか?」 「指導の際は、必ず人事部の方を同席させることです。パワハラの主張に対する防衛策にもなりますし、何より適切な指導の証拠となります」