遅刻とミスを連発、社長にも逆ギレの28歳「問題社員」…それでも「すぐに解雇」は危険、適切な指導のポイント
具体的な4つの対応策
上岡社労士は、以下の4つの対策を具体的に提案しました。 【対策1 会社が求める業務水準を明確にする】 まずは問題社員本人に、会社が求める業務の水準を明確にします。そして、その水準に現状達していないことを具体的に説明し改善を求めます。問題社員に自分の業務の問題点を自覚してもらうことが解決への第一歩です。 【対策2 日報や指導記録を残す】 毎日の業務への取り組みを日報等に記入・提出させます。それに対して上司の指導等をフィードバックして記録に残しましょう。日々の仕事ぶりがチェックされることにより業務に対しての意識が高まること、職務怠慢があった場合に、都度上司からの指導が入ることにより、業務水準の向上に繋げます。また、こうした記録は裁判になったときに会社の解雇回避努力の有力な証拠となります。 【対策3 面談を行い、評価を伝える】 会社が求めている水準に達しているのか、他の社員と比べどの程度の評価がつくのか、など仕事ぶりに対する客観的な評価を本人に伝える機会を設けることも有効です。求める業務水準に未達な部分は期限をつけて改善を求めましょう。 【対策4 懲戒処分・解雇の可能性について説明する】 遅刻や無断欠勤など職務怠慢については懲戒処分される可能性を伝えます。加えて、教育指導を重ねた結果、期限までに求める業務水準を達成できない場合には解雇もありうることを説明します。
過去の重要な判例
上岡社労士は、ある重要な判例を示しました。 *セガ・エンタープライゼス事件(東京地裁平成11年10月15日決定、労判770・34) 業務用娯楽機械の製造販売会社において、能力不足を理由に解雇されたAさんが地位保全等の仮処分を申し立て、会社側が敗訴した事件です。 Aさんは入社後、能力不足を理由に部署異動をするも人事考課は下位から常に10%以内。会社は業績低迷からリストラ実施を決め、退職勧奨を受けますが拒否。その後解雇となりました。 裁判所は、以下の理由から解雇を無効と判断しました。 会社側の教育・指導が充分でなかったこと 下位10%以内の人事考課は相対的な評価で、ただちに能力不足とは判定できないこと