「フルインクルーシブ教育」実現に向け連携 東大大学院教育学研究科と国立市教委
国立市教育委員会と東京大学大学院教育学研究科は29日、「フルインクルーシブ教育」に関する協定を結んだ。両者で協力しながら、地域の普通学校・普通学級ですべての子どもがすべての時間をともに学び合う教育の実現を目指す。同大学の勝野正章・教育学研究科長は「今回の連携は、国立市や東京大学だけにとどまらず、インクルーシブな社会の実現に向けた重要な第一歩となるものだと思う」と期待を寄せた。
国立市は、2022年6月に策定した新たな「国立市教育大綱」の中で、「しょうがいのある児童・生徒もしょうがいのない児童・生徒が同じ場で共に学び、相互に成長できるフルインクルーシブ教育を目指す」ことを打ち出している。市民参加の「国立市のフルインクルーシブ教育を語る会」などで、フルインクルーシブ教育の実現に向けてできることについて、意見交換も進めてきた。 そして、今回、さらに本格的に改革を進めるため、同大学院のバリアフリー教育開発研究センターなどの知見を活用することにしたもの。
協定書調印式に出席した国立市教委の雨宮和人教育長は「国立市では障害を持つ人や外国籍の人など、多様性を認め合って暮らしていくことができるまちづくりを進めてきた。しかし、教育の世界に目を転じると、なかなか足を踏み込めていない部分があった。国立市ならではのフルインクルーシブ教育のあり方をさまざまな人と対話をしながら考えていきたい」と話し、最終目標については「誰もが同じところで共に学ぶこと」と述べた。 国立市教委は今後、フルインクルーシブ教育推進のためのロードマップの作成を同大学院と協力しながら作っていく予定だという。また、昨年度に引き続き、障害当事者や保護者が参加するワークショップを開いていく。一方、同大学院は、国立市教委との連携を通じて、インクルーシブ教育研究の発展とその担い手の育成に取り組んでいく。