なんと、まっさきに「衰えてしまう筋」がある…じつは、山に登らない平地民にもオススメしたい、登山トレーニングが「衝撃のお手軽さ」だった
筋トレの処方と留意点
図「さまざまな筋力トレーニング」のうちで、スクワット(a)、上体起こし(b)、脚起こし(c)の3つは、誰にとっても必要なトレーニングです。 これらの運動によって強化される 大腿四頭筋や腹筋群は、登山にとって重要であるにもかかわらず、登山をしているだけでは十分には強化されないからです。これらの筋が弱いと、膝や腰の痛みも起こりやすくなります。 この図以外にもたくさんの種目がありますが、まずはトレーニングの習慣を作ることが大切で、それがいちばん難しいことでもあります。そこで最初は、a~cなど少数の種目で行い、習慣ができてきたら増やしていくとよいでしょう。折々の登山で、筋肉痛や筋痙攣などが起こる箇所を「QCシート」で特定し、その部分を強化する筋トレを加えていくと効果的です。 図「さまざまな筋力トレーニング」に示したa~eは10回×3セットを、fでは10秒×3セットを、まずやってみてください。セット間の休息時間は1分程度とします。それが楽にでき、運動後に筋肉痛も起こらなくなったら、軽登山に対応できるレベルの筋力が身についたと考えてよいでしょう。 より大きな登山を目指す人では、回数やセット数を徐々に増やしていき、a~eでは 15回×5セット、fでは15秒×5セットが楽にでき、筋肉痛にもならないところまでを目指します。これが達成できれば、幅広い登山に対応できる基礎的な筋力が身についたと考えてよいでしょう。 * * * 続いて、柔軟性のトレーニングである「ストレッチ」のポイントを解説します。 登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術 安全に楽しく登山をするために、運動生理学の見地から、疲れにくい歩き方、栄養補給の方法、日常でのトレーニング方法、デジタル機器やIT機器の効果的な使い方などをわかりやすく解説。豊富なコラムで、楽しみながら知識が身につけられます!
山本 正嘉(鹿屋体育大学名誉教授)