2児のママ、野獣・松本薫。仮面イクメン夫への不満が爆発。それから3カ月後「戦いに行くぞ!」と覚悟を決め、夫にあることを伝えた【インタビュー】
赤ちゃんを連れて練習へ。東京オリンピックをめざしていたころはストレスがピークに
松本薫さんは、東京オリンピックをめざし、一時は赤ちゃんを連れて練習やトレーニングをしていたと言います。 ――長女が生まれたころ、柔道の合宿に長女を連れて行ったとのことですが、普段の練習やトレーニングも子連れだったのでしょうか。 松本 長女が生まれたころは、まだ現役だったので、赤ちゃんのころから練習やトレーニングに連れて行っていました。 練習中、赤ちゃんは師範室などの安全な場所で寝かせていて、けがをして別メニューの練習をしている後輩などが赤ちゃんを見てくれていました。長女が泣くと「先輩、泣いてま~す」と教えてくれるんです。そうすると練習を一時、中断してミルクをあげたりしていました。 ――赤ちゃんを預かってくれる人はいなかったのでしょうか。 松本 長女は生後4カ月から保育園に入園できたのですが、それまでは赤ちゃんを連れて練習に行っていました。私は、そのころほぼワンオペでした。 味の素ナショナルトレーニングセンターには、女性アスリート支援があって、練習中に赤ちゃんを見てくれたりしますが、ほかではそういうことはありません。 ――赤ちゃんと一緒で、練習には集中できましたか。 松本 練習に集中したくて、赤ちゃんとたくさん遊んで疲れさせて「これで2時間は寝てくれる! 練習ができる」と思っても、うまくいかないことの連続でした。本当にあせったし、イライラするときもありました。「今日も練習できなかった~」と落ち込むことも多かったです。 ――松本さんの柔道人生の中で、これまでけがをして練習ができなかったこともあったと思いますが、そのときのあせりとは違うのでしょうか。 松本 けがは必ず「手首を変についたから」「肩の入れ方が弱かった」など理由があります。けがをすることで、次は同じけがをしないように対策もとれます。けがは強くなるためには必要です。 でも、育児はまったく別物です。赤ちゃんを長時間泣かせないようにする対策なんてありません。 また私は、これまで1日のスケジュールを立てて、それに沿って練習やトレーニングをしていました。「超」完璧主義なんです。子どもが生まれてもそのいう癖が抜けずに、時間を決めて育児と家事、練習・トレーニングを計画どおりに進めようと思っていたんです。でもうまくいかなくて…。今思えばうまくいくはずがないってわかるんですが、当時は必死でした。 練習中に寝てくれるように、赤ちゃんを起こす時間を早めたり、ミルクの時間をずらしたりして試行錯誤しながら再チャレンジしても、まったくうまくいかないんです。東京オリンピックをめざしていたころは、あせりとイラつき、ストレスはピークでした。