雨に泣き1打差3位…渋野日向子の復活は本物か?
「最終日にプレーできなかったのはすごく悔しいけど、それでもいい位置で終えられた。優勝した次の週にこれだけ上位争いができたことは、すごく前向きにとらえたい。そこはすごくうれしいです」 8月の「AIG全英女子オープン」を34位で終えて帰国し、国内ツアーは「富士通レディース」まで6試合に出場したが、ここまでの戦いぶりは、目を見張るものがある。 帰国初戦の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」は25位で、そこから4位→8位→5位→優勝→3位。トップ10入りした5試合で特筆すべきはボギーの少なさで、計14ラウンドを回ってボギーなしが実に5度もあり、トップ10入りした570ホール連続ボギーなしの自己記録も更新した。 ダブルボギーは「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」も含めて6試合でわずか1個。再現性と安定感を求めて、石川遼のアドバイスを受けて着手した新しいスイングを完全に自分のものにした感がある。 スイング改造に伴い影を潜めていた持ち前の闘争心にあふれる攻撃的なゴルフを取り戻しつつある。 今大会では、2日間で13バーディー。 「伸ばし合いのバーディー合戦になるのは最初から分かっていた。その中で出遅れなかったのは成長したところかな。もったいないミスもあったけど、2日間で13個のバーディーが取れた。最近はこういうのがなかったのでうれしいですね」 先週優勝した「スタンレーレディス」は3日間で17バーディー。2019年に平均バーディー数「4.00」で1位となった爆発力も復活気配。安定感は大幅アップした。もはや復活に疑いはない。いや、復活が本物だという評価よりも、むしろ進化した新生・渋野の誕生と言っていいだろう。 「また来週から試合がある。しっかりこの調子を続けられるようにしたい。これからも目の前のことに集中して、いい成績で終われるように頑張りたい」
来年の米ツアー出場を懸けて12月2日から米アラバマ州で開催されるQシリーズ(最終予選会)まで、あと1カ月あまり。今年最大の目標に掲げる大一番を前に、国内ツアーは次戦の「マスターズGCレディース」から最終戦の「JLPGAツアー選手権リコー杯」まで6試合となった。 「スタンレーレディス」の優勝で出場資格を得た11月25日開幕の「リコー杯」については「出るか出ないか考えています」と話したが、「ほかは全部出ます。優勝したからと言って何かが変わることはない。やってきたことを継続してやるだけ」と気力も一段と充実してきた。その中には優勝経験があり得意コースのエリエールGC松山で11月18日から行われる「大王製紙エリエールレディスオープン」も含まれている。苦しんだ分だけ、今はすべてがうまくかみあっている。 ただ、ピークの合わせ方が少し早いことに一抹の不安が残り、この好調の波を反動なしに、どこまでキープできるかという今後の課題もある。そこをどう乗り越えていくかという部分も新生・渋野の進化のバロメーターということになるだろう。