高反発禁止で「学童野球が元に戻る」 猶予期間に困惑も…迫る“バット頼り”との決別
2025年から大人用複合バット禁止…どうなる小学生野球? 関東新人戦から探る
あまりにも打球が飛ぶことから「学童野球を変えた!」とも言われる一般軟式用の複合型バット、いわゆる“高反発バット”。本体価格が4万円を超える高価なものだが、2020年の登場から絶大な支持を得てきた。一方、中学生以上は場外ホームランなど外部に危険も生じることから使用を制限するケースも出てきており、来たる2025年からは、「安全性確保」を理由に小学生の学童軟式大会でも一切の使用が禁止となる。現在は猶予期間だが、現場の最先端ではどのような動きや意見があるのか。5年生主体の新チームの大会(新人戦)で最高位となる、11月末の関東大会で探った。 【動画】腕を封じて「胸郭を使う」 プロ指導専門家直伝…インサイドアウトが身に付く“正面ティー” まずはルールの整理から。2025年から全面禁止となるのは、打球部に緩衝・反発用のウレタンなど別素材を用いた「複合型バット」のうち、一般用(大人用)のみだ。小学生対象の「少年用」に制限はないが、打球の飛距離や速さが劣ることから、今夏までは都道府県大会以上では「一般用」の使用が圧倒的に多く見受けられてきた。 関東大会は1都7県の予選を制した8チームによるトーナメント戦で、全7試合。70メートルの特設フェンスを越えたホームランは2本で、どちらも「一般用」から生まれた。6年生主体の夏の全国大会(全日本学童大会)の、50試合39本塁打に比べると率は低いが、新人戦は5年生以下なので妥当だろう。 「一般用を使える最後の大会なので、子どもたちとも話したんですけど、『使えるものは使ったほうがいい』という結論で、ウチは全員がそれで打ちました」 こう話したのは茨城・茎崎ファイターズの吉田祐司監督。1回戦で5番・関凛太郎が左へ決勝3ランを放ち、続く準決勝は散発3安打で敗れた。指導歴28年、2019年には全国準優勝の実績もある吉田監督は、バットの使用制限によって「野球が元に戻る」と読んでおり、それを好意的に受け止めていた。 「複合型バットは昔からありましたけど、一般用は飛距離がぜんぜん違うので、野球もぜんぜん変わってきて、バットに頼る野球になりましたよね。それがまた、1点を積み重ねていく野球に戻るはず。自分はそのほうがいいと思うし、本来の学童野球はそういうものだと考えています」