高反発禁止で「学童野球が元に戻る」 猶予期間に困惑も…迫る“バット頼り”との決別
“飛ぶバット”未使用ゲームも多数経験…打の調子狂うも関東を制した東京王者
バット対策に最も踏み込んでいたのは、初優勝した東京・旗の台クラブだった。6試合で58得点と、猛打で東京予選を4年ぶりに制したのが10月6日。それから関東大会までの約2か月は、意図して一般用を使わない練習試合も多く組んだという。 チーム代表を兼ねる酒井達朗監督が、こう説明する。「対戦相手の意向もお聞きして、双方で使わない試合もあれば、ウチだけが使わなかったことも。やっぱり、使うか使わないかで打球がぜんぜん違いましたね。結果として私の反省なんですけど、子どもたちの打撃の調子がそれで狂ったんですよ。関東大会でなかなか調子が上がらなかったのは、バットをとっかえひっかえした影響ですね」。 旗の台は、1回戦の6回に長短打4本で2-1のサヨナラ勝ち。準決勝も3-2の辛勝、決勝でようやく2ケタ安打をマークして11-6で勝利した。新人戦最高位の勲章となる金メダルと引き換えに、一般用複合型バットとは決別するという。 「課題もたくさん出ましたし、バッテリーを中心に守備でペースをつくって最後に打ち勝つ。そういう野球に早く切り替えていかないと。毎年の目標を決めるのは子どもたち自身ですが、チームとしては東京4位で全国大会に出られなかった今年の雪辱を果たしたいと思っています」 一般用の複合型バットの使用禁止で、学童野球は元の鞘に収まる。コロナ禍以前までのように、ロースコアの接戦が増えるとすると、そういう時代も経験しているベテラン指導者のチームが優位となるのかもしれない。奇しくも、新人戦の関東大会4強の指揮官たちは、数年から20年以上までのキャリアの持ち主たちだった。 〇大久保克哉(おおくぼ・かつや)1971年生まれ、千葉県出身。東洋大卒業後に地方紙記者やフリーライターを経て、ベースボール・マガジン社の「週刊ベースボール」で千葉ロッテと大学野球を担当。小・中の軟式野球専門誌「ヒットエンドラン」、「ランニング・マガジン」で編集長。現在は野球用具メーカー、フィールドフォース社の「学童野球メディア」にて編集・執筆中。JSPO公認コーチ3。
大久保克哉 / Katsuya Okubo