高反発禁止で「学童野球が元に戻る」 猶予期間に困惑も…迫る“バット頼り”との決別
猶予期間の“飛ぶバット”の使用判断はバラつき…木製で対策始めるチームも
一般用の複合型バットが現場に広まったのは、コロナ禍以降。それ以前は、レベルが上がるほど、ロースコアの接戦が多かった。全国大会もサク越えアーチより、好守や好走塁が目立ち、戦術を含む駆け引きも見どころだった。是非はさておき、新年度からはそういう勝負がまた増えることだろう。 今夏の全国大会で準々決勝まで進んだ神奈川・平戸イーグルスは、新チームの今大会は4強入り。スタメンの8人が5年生で、一般用の使用者は1人だけだった。中村大伸監督は、その理由をこう語る。 「5年生ではやっぱり、そこまで重いバットを振れないじゃないですか。身の丈に合ったバッティングがウチの方針なので。本人が望むなら一般用も使っていいけど、ヘッドが走らないスイングをしたら、すぐに『替えなさい!』と指示します」 中村監督は元オリンピアン。横浜商高時代に春夏連続で甲子園準優勝し、社会人のNTT東京では都市対抗に10年連続で出場した。1996年のアトランタ五輪では日本代表の主将を務めて銀メダルに。学童の指導歴は20年以上で、子どもの特性もよく理解していて言葉に重みもある。 「確かに一般用は学童野球にとって脅威でしたよ。ただ、野球の本質は変わらないので。相手に与えるべき点を与えずに、ウチが取るべき点をしっかり取れば、道具が何であろうと、あんまり関係ないかなと思いますね」 準優勝した栃木・阿久津スポーツは、上位打線の3人が一般用を使用。OBで就任5年目の小林勇輝監督は、判断を個々に任せてきたが、「結局は一般用を使いこなせるのは振り切れる子、そこまでのパワーがある子に限られる」と語る。 新年度に向けては木製バットを使い始めており、冬場にスイング力を強化したいという。「木のバットは、しっかり振って芯に当たれば飛びますからね。でもバットに関係なく、目指すのは野手の間を抜く強いゴロ。これから春にかけて、しっかりと振り込んでいきたいなと思います」。