ジャージー乳で作ったアイスに法体の滝、謎の大陸将軍の墓 鳥海高原で緑の風に吹かれる 味・旅・遊
残雪がまぶしい鳥海山の北麓、秋田県に広がる鳥海高原(由利本荘市、にかほ市)を訪ねた。雪解けの水しぶきが鮮烈な法体(ほったい)の滝を間近に眺め、新緑の風に吹かれながらしぼりたてジャージー乳で作った濃厚なチーズやアイスクリームを堪能。里の古刹(こさつ)では奈良時代に大陸から遣わされた将軍の墓に出合い、秋田の歴史の奥深さを改めて思い知った。 【写真】渤海国の特使だった?万箇将軍の墓 ■雪解け水のしぶき 日本の滝百選にも選ばれている法体の滝は全3段の落差57メートル余りで、下から見えるのが最大の三の滝。巨大な岩盤を鳥海山の雪解け水が白いしぶきを上げて流れ落ちる。これを駐車場から目の前に見られるのだ。 平安時代、ここを訪れた空海が滝から現れた不動明王に拝礼したと伝わるだけに、すそ広がりの滝は仏像のようにも見える。朱色の吊り橋を渡り、急階段を登った展望台からは二の滝、一の滝、さらに上流の玉田渓谷も見渡せる。 滝つぼから流れ出た清流は日差しを受けてエメラルド色に輝き、森を縫うようにゆったり流れる。キャンプや水遊びができる岸辺の園地でしばし風に吹かれる。全身が洗われるような高原ならではの爽快感だ。 滝の駐車場から下って観光道路「鳥海グリーンライン」を10分ほど走ると広さ100ヘクタールの花立牧場公園。「子供の国」をはじめ乗馬、宿泊コテージなどがあり、大小のため池には「逆さ鳥海」が映る。 隣接する花立牧場(約70ヘクタール)は小柄で茶毛のジャージー牛270頭を飼育し、かつては搾乳体験もできた。第三セクターが営むジャージーハウスカフェはこのミルクを使ったソフトクリームにエスプレッソコーヒーをかけたアフォガード(400円)やチーズトースト(500円)などを提供。瓶牛乳(900ミリリットル)は605円。「ジャージー乳自体が濃厚で甘みもあるので、他にはない味わいです」と担当者は話す。 牧場の佐藤俊弥代表(43)は「市営牧場を農事組合法人として引き継ぎ、両親らと運営しながら設備も整え牛の数を倍以上にした直後に新型コロナウイルス禍、そして戦争の影響や物価高で…まだまだこれから。この鳥海高原とうまいミルクをもっと多くの人に知ってもらうよう頑張る」と意気込む。 ■謎の大陸将軍の墓