オリックス19歳左腕の宮城大弥がハーラートップ9勝目…敵将に「タイミングが取りづらい」と言わせた理由とは?
明らかにギアをひとつ上げた。一死からこの試合で初めて四球を与え、代打に一発のある山川穂高を送られた8回。リードはわずか1点という状況で、オリックスのマウンドを託されてきた19歳の左腕、宮城大弥(ひろや)は威風堂々としていた。 フルカウントから投じたのは、この試合で最速となる148kmのストレート。ど真ん中のやや甘いボールだったが、気迫が打者を上回った。振り遅れた山川のバットに空を切らせてもマウンド上の宮城は表情ひとつ変えなかった。 敵地メットライフドームで4日に行われた15回戦。西武打線を8回2失点に抑え、チームメイトの山本由伸、高橋優貴と戸郷翔征の巨人勢を抜いて12球団でトップとなる9勝目をあげた。チームは1引き分けをはさんで5連勝、パ・リーグの40勝一番乗りを果たした。 「野手の皆さんに本当に助けられたなと思います」 ヒーローインタビューに指名された宮城は、その第一声でチームメイトへの感謝の言葉を発した。 宮城は、113球の力投のなかでさまざまな顔をのぞかせた。 まずはややネガティブな顔として、プロになって2年目で初めて1試合で2発のホームランを浴びた。2回に先頭の4番・中村剛也に7号をライトへ、3回二死には1番で先発復帰を果たした外崎修汰に1号を左中間へ、それぞれ運ばれた。 ともに味方打線から1点のリードをもらっていた場面。中村にはカウント0-2と追い込んだ後のやや外寄りに高く浮いた146kmのストレートを、外崎にはど真ん中へ投じた初球の147kmのストレートを痛打されて2度追いつかれた。 初めて経験した1試合2被弾への悔しさと、味方打線への申し訳なさが込められていたのだろう。宮城は勝利インタビューで反省を口にした。 「いい状態と悪い状態との差というものが出たと思うので、しっかりとまた修正していきたいと思います」 登板するたびに自身の課題を見つけて、次の先発までに修正を加える作業を淡々と繰り返してきた。たとえば1週間前の6月27日に、京セラドーム大阪で行われた西武との12回戦。宮城は無失点で8勝目をあげるも、5回98球でマウンドを降りている。 左打者に四球と死球を2つずつ与えるなど制球を乱し、球数を多く投げさせられたのが要因だった。再戦となったこの日も3回までに48球を要したが、試合中に修正を施し、低目の内外角にしっかりと投げ分けるピッチングに変えた。 「前回は苦しい状況がずっと続いたので、少しでも上向きなピッチングができるように、この1週間ずっと練習してきました」 4回以降の4イニングで許した走者は、ショートへの内野安打を放った5回の8番・岸潤一郎の一人だけ。その岸が盗塁を狙うも、捕手の伏見寅威がしっかりと刺した。