なぜオリックスの19歳左腕・宮城大弥はあわやノーノーの快投でG倒に成功したのか…変化球の球速を操る驚愕の投球術
オリックスの2年目左腕の宮城大弥(19)が9日、本拠地の京セラドームで行われた巨人戦に先発、7回二死まで“ノーノー“を続ける快投を見せて6勝目を手にした。巨人の岡本和真(24)に16号ソロを浴び大記録達成はならなかったが、7回99球を投げ、打たれたヒットはこの1本だけ。自己最多となる毎回の13奪三振で巨人打線を封じこんだ。なぜ宮城はG倒に成功したのか。
「(ノーノーの)意識はしていなかった」
恐るべし19歳のサウスポーである。150キロを超える剛球でバッタバッタとねじ伏せるわけではない。“魔球”と呼ぶべきスライダーを武器にスイスイと三振を量産する。リズムとテンポ。まるで催眠術をかけられたかのように「あっという間に7回」というのが巨人ベンチの感想ではなかったか。 試合後、宮城自身が、「初回からテンポよく自分のペースで投げられたので良かった」と語ったが、立ち上がりから石川、ウィーラー、吉川の3人を片づけると、2回には岡本、スモークのクリーンナップを連続三振。岡本にはボールゾーンに落ちるスライダーでバットに空を切らせ、スモークもインサイドにストライクからボールゾーンに曲がるスライダーでスイングアウトに仕留めた。 圧巻は3回である。 若林、広岡、炭谷の右打者3人を3者連続の見逃し三振。若林は147キロのストレートに反応できず、広岡、炭谷は、アウトコースにボールゾーンからストライクゾーンに曲がってくるバックドアに手が出なかった。おそらくボールに見えたのだ。 7回二死までノーヒットノーラン。出した走者は4回の吉川への四球だけ。大記録の予感に京セラドームはざわつきかけた。 だが、宮城は「(ノーヒットノーランの)意識はまったくせず、回ごとに集中して入れたので、こういう形になった」という。 ここまで2三振と、牛耳っていた4番・岡本に対して、初球はインサイドへのスライダー。これを岡本が打ちにきてファウルになった。2球目の外角へのストレートは外れたが、3球目にスライダーを外角に決めて追い込んだ。岡本は、この2球の外角球にまったく反応を示さなかった。岡本はインコース1本に狙い球を絞ってきていた。 97球目。インサイドを攻めた142キロのストレートを岡本がすくいあげるようにしてフルスイング。かろうじて、宮城の大記録を阻止する特大の16号ソロがレフトスタンドの5階席まで飛んでいった。 「最後丁寧にいった球を打たれてしまった。あそこはもっと大胆にいってよかった」