オリックス19歳左腕の宮城大弥がハーラートップ9勝目…敵将に「タイミングが取りづらい」と言わせた理由とは?
この日の西武戦では試合中における自己修正能力も発揮し、最後は内面に秘めた闘志をボールに乗り移らせたような力投も演じた。山川や源田と対峙したマウンド上の姿は、とても十代とは思えない気迫と執念に満ちあふれていた。 ドラフト1位の同期生、佐々木朗希(ロッテ)や奥川恭伸(ヤクルト)に入団直後こそ、注目度では後塵を拝したが、2年目も折り返し地点を越えた今、一歩も二歩も前をいく。首位を快走するオリックスの投手陣を山本と共に引っ張る存在。黒星もわずかひとつ。貯金「11」のうち実に「8」を宮城が一人で稼いでいる計算になる。 次回登板予定は敵地PayPayドームで行われる11日のソフトバンク戦。ローテーションとの関係で今シーズン初対戦となる王者を相手に、東京五輪による中断前の最後の一戦での2桁勝利到達を狙う。もっとも、宮城本人はもうひとつピンと来ないようだ。 「まあ、あまりわからないんですけど、しっかりとひとつひとつ、自信を持って投げられるようにしていきたい。火曜日からもっとたくさん勝てるように頑張りたい」 4ゲーム差をつける2位・楽天、そしてソフトバンクと続く前半戦のヤマ場へ向けて、宮城は再びおっとりとした口調で決意を表した。帽子を取って声援に応えると、チームメイトの手違いで予定よりもはるかに短く五厘に刈り込まれた高校球児のようなヘアスタイルが露になった。マウンド上での立ち居振る舞いとのギャップもまた宮城の魅力。 宮城はルーキーイヤーだった昨シーズンも1勝をあげている。十代で通算10勝に到達した投手は、2014年の大谷翔平(日本ハム)以来となる。その大谷も10勝のまま20歳を迎えた。今シーズンの新人王に当確ランプが灯ったと言っていい難攻不落の左腕は、誕生日となる8月25日までいくつの白星を積み重ねていくのだろうか。 (文責・藤江直人/スポーツライター)