オリックス19歳左腕の宮城大弥がハーラートップ9勝目…敵将に「タイミングが取りづらい」と言わせた理由とは?
4回は中村以下を6球で、6回には外崎以下を7球でそれぞれ三者凡退に仕留めた。前の打席で一発を打たれた相手にしっかりとリベンジを果たし、スコアボードにゼロを並べるとともに、7回を終えた時点で球数も87球に抑えていた。テンポのいい投球に応えるように、5回には打率首位に立つ3番・吉田正尚のタイムリーで再び勝ち越した。 その1点を最後まで挽回できなかった対オリックス3連敗。借金が再び「3」に増えた敗戦に、西武の辻発彦監督は、これで今季4戦4敗とカモられている宮城を称えるしかなかった。 「テンポがよくてタイミングが取りづらい。あれだけ腕を振られるとね。しかもフォアボールも出さない。やっぱりいいピッチャーだ。ウチもチャンスがあったんだけどね」 辻監督が悔やんだ最大のチャンスが冒頭で記した8回となる。山川を空振り三振に仕留めるも、外崎の当たり損ねの打球がショートへの内野安打となった。 迎えるのはキャプテンの源田壮亮。左打者への制球に苦しんだ前回登板からの修正の跡を証明する最高の場面で、宮城はこれで最後とばかりに、さらに強く左腕を振り続けた。 源田に投じた10球のうち、高目に浮いたのは6球目の外角ストレートだけ。しかし、宮城の気迫がフェアゾーンへ打球を飛ばさせない。ファウルで4球粘られても根負けしない。最後は外角低目に投じた131kmのスライダーでセカンドゴロに仕留めた。 一塁へヘッドスライディングするも、間に合わなかった源田が悔しさを露にする。すれちがいざまに一塁側ベンチへ戻っていった宮城は左拳を小さく、控え目に握り締め、最終回のマウンドを交流戦から守護神に復帰した平野佳寿に託した。 終わってみれば、2発を浴びた後は3本の内野安打だけに封じた。与えた四球も8回の岸へのひとつだけ。6三振を奪う力投のハイライトとなった8回のピンチも、マウンド上で見せた雄々しい姿とは対照的な、おっとりとした口調で宮城は振り返っている。 「野手の方や高山(郁夫ピッチング)コーチに声をかけられて、しっかり自信を持つことができたので抑えられたのかな、と思っています」 ストレートと変化球で腕の振りがほとんど変わらないピッチングフォーム。さらにカーブ、スライダーは状況の応じて1球、1球、球速差をつける。辻監督が言及したように独特の2段モーションから腕を強く振るから、対峙する打者はタイミングを狂わされる。軸となるストレートには球威があり、コントロールも抜群とくれば、まず大崩れはしない。 1.96とした防御率はトップの山本に0.02差の2位。特筆すべきは両リーグを通じて唯一の1割台をマークする.167の被打率で、こちらは2位・山本の.203に大きく差をつけている。いかに宮城が打たれにくいかが、防御率と被打率のセットからもわかる。