「ゴルフはいい。困難がいっぱい来るから」 パラアスリート4人に聞いた“彼らが試合に出る理由” 障害者の大会で知る「楽しさだけじゃないもの」
障害者ゴルファー日本一を決める第29回日本障害者オープンゴルフ選手権が、麻生飯塚ゴルフ倶楽部(福岡県)で開催された。 【写真で見る】2008年の北京から2021年の東京まで、パラリンピック4大会連続で陸上競技に出たあの選手(42歳)も大会に出場した 細かいルールはいろいろあるが、「グランプリの部」のほか、「車いすの部」「片マヒの部」「女子の部」など10部門に、総勢69名が参加した。 ■ドライバーの平均飛距離は290ヤード グランプリの部の優勝は、過去3勝している障害者ゴルフの第一人者、吉田隼人選手(41歳)。23歳の時に交通事故で右大腿部を切断した。
2日間で6オーバー、2位に12打差をつけて優勝した。ドライバーの平均飛距離は290ヤードを誇る。ちなみに同じ年代のアマチュア男性ゴルファーの飛距離は、220ヤードほどだ。 今大会のグランプリの部には、パラリンピック出場経験のあるパラアスリートが4名出場していた。なぜ、彼らはゴルフ競技に出るのか、それぞれのパラアスリートに話を聞いた。 グランプリの部8位の山本篤選手(42歳)は、新日本住設株式会社所属。2008年の北京から2021年の東京までパラリンピック4大会連続で陸上競技に出場。走り幅跳びでは北京とリオで銀メダル、4×100mリレーではリオで銅メダルを獲得している。
高校2年の時に交通事故で左足を失い、高校卒業後に進学した義肢装具士になるための専門学校で競技用義足に出合い、陸上を始める。本格的に競技を始めようと、2004年に大阪体育大学体育学部に入学し、陸上部に所属した。 山本選手のゴルフとの出会いは、「大学でゴルフの授業があり、おもしろいと思った」とのこと。「陸上部の恩師がゴルフ好きで、20年近くゴルフをしている。競技に出ようと考え始めたのはコロナがきっかけ」と言う。
「障害者にとって、リハビリとか社会活動の参加には、ゴルフが一番だと思う。例えば、陸上では専用の義足や車いすが必要だが、ゴルフは普段の義足でプレーできる。また、いくつになっても上手になる余地があることで、競技を長く続けられる」とも話す。 陸上とゴルフには共通点があるようだ。「走り幅跳びは力みすぎたらダメ。ゴルフも力んだら全然よいことがありません」と言って笑う。 パラアスリートの先駆者的存在である山本選手は、本大会でも注目されていた。大会運営をよりよくしようと積極的に意見を述べているのが、印象的だった。