「ゴルフはいい。困難がいっぱい来るから」 パラアスリート4人に聞いた“彼らが試合に出る理由” 障害者の大会で知る「楽しさだけじゃないもの」
■アルペンスキー歴20年以上の選手も 同26位の三澤拓選手(37歳)はSMBC日興証券所属で、2006年の冬季パラリンピック・トリノ大会から5大会連続で出場、トリノでスキー男子回転5位、2016年のW杯では2位に入賞している。国内外で20年以上アルペンスキー選手として活躍しているベテランだ。 三澤選手は6歳の時に交通事故に遭い、左脚の太ももから下を切断。8歳からスキーを始めた。 ゴルフを始めたきっかけを聞くと、「コロナの時に、夏のニュージーランド遠征ができなくなった。奥さんが勤め先のゴルフコンペに出るので、一緒に打ちっぱなし(ゴルフ練習場)にいったのが初めてです」。それでゴルフにはまったという。
2022年の北京でリタイアを決意し、北京後にすぐ前出の吉田さんとゴルフをする機会に恵まれた。三澤選手は、吉田さんのドライバーショットを見てしびれたという。「ずっとパラスポーツ界にいて、ほかの種目を見ているが、こんなに驚かされることはなかった」。 ゴルフについては、「スキーは急斜面を滑りましょうといっても、レベルが違うので一緒に滑れない。だけれど、ゴルフ競技はいろいろな障害の人も、健常者も一緒に回れる。まさに多様性があると思う」と感じている。
自身が競技者としてやってきたスキーがゴルフにも生きているようだ。 「初心者の時からグリーンの傾斜やパットのラインを読むのが得意で、長い距離のパットがよく入っていた。スキーは斜面の感覚が必要で、スキーをやってきたことが役立っていると思います」 競技人口の多さも、三澤選手には魅力的に映っている。 「ほかのパラ種目の国内大会では参加人数が少なく、スキーでは10人前後だが、今日の大会は60人以上参加している。幅広い年齢の選手が参加し、70歳を超えた選手もうまいので、負けられないです」
■障害者や健常者を問わないスポーツ 同7位の小須田潤太選手(34歳)はオープンハウス所属で、2021年の東京パラリンピック男子走り幅跳びで7位入賞、2022年の北京冬季パラリンピック男子スノーボードクロスで7位に入賞している。 21歳の時に、交通事故で右足を切断している。ゴルフを始めたきっかけは、2019年陸上の春合宿で沖縄に行った時だった。 「山本さん(前出)から『明日ゴルフ行くけど』みたいな感じになって、いきなりホテルの目の前のショートコースに行ったのが初めて。競技に出始めたのは北京が終わってから」