なぜNBAラプターズの渡邊雄太はトロントで“時の人”となっているのか…無保証の最低年俸から高まる本契約の可能性
米プロバスケットボールNBAラプターズの渡邊雄太(26)が、地元ファンの間で“時の人”となっている。コートに立つと、とにかく一生懸命で、相手がスーパースターであろうが、大きくパワフルな選手であろうが、小さく俊敏な選手であろうがおかまいなしに全力で立ち向かい、混乱させるのだ。 ペイサーズ戦では、強力センター、マイルズ・ターナー相手に体を張って守りオフェンス・ファウルを誘った。同試合では得点力の高いガード、マルコム・ブログドンのドライビング・レイアップもブロック。マーベリックス戦では身長224cmのボバン・マリヤノビッチを必死にボックスアウトし、セルティックス戦では若手スターのジェイソン・テイタムの進路を阻み、ウォリアーズ戦ではドライブでシュートに向かったスーパースター、ステフィン・カリーを真正面でブロックした。 “fearless(大胆不敵)” ―。今の渡邊には、この言葉がピッタリだ。とにかくよく動き、よく走り、よくジャンプする。ルーズボールに飛びつき、自らのマークマンの行方を阻止し、ヘルプディフェンスをし、外角でオープンの選手にパスが回ると察知すると即座にクローズアウト、もしくは206cmの身長と208cmのウイングスパンの体を思い切り伸ばし、ジャンプして挑む。 渡邊はツーウェー契約で、今季に限り15人がベンチ入りできるチームにおいて立場としては16~17番目。しかし実際には毎試合ベンチ入りし、戦力として出場機会を得ている。今は無我夢中でプレーしているが、「もし一生懸命やることをやめたら、誰かにこのスポットを取られてしまう」と認識するほどプレッシャーも感じている。 しかし今の状況について「めちゃくちゃ楽しいです」と声を弾ませる。 グリズリーズとのツーウェー契約2年目だった昨季のことだ。若手中心のチームがオーバータイムとなった開幕3試合目のネッツ戦を134-133で制し、シーズン初勝利を挙げた。ホームで行われた同試合は大いに盛り上がり、出場選手登録はされていなかったが、その場にいた渡邊もコートで勇ましく戦うチームメイトに声援を送った。チームの勝利を望み、チームメイトの活躍を喜ぶ気持ちは心からあった。しかし「正直悔しい気持ちというのが凄くありました。ああいう場面で自分が試合に出られたら楽しいだろうなと思いますし、ベンチでしか見ていられないというのは悔しい」とも言った。