自民党の“どん底”時代を知る元総裁・谷垣禎一が語る「安倍晋三・石破茂・小池百合子」それぞれの本性
《就任後は週1回、官邸で安倍首相と昼食をともにして意思疎通を図った。首相動静に載る形を取ったのは、密な連携を党内にアピールするためだ》 安倍さんと(谷垣氏の前任の)石破茂元幹事長は、何だか波長が合っていなかったですよね。せっかく与党に戻ったのに、あれでは収まるものも収まらなくなるのではないかと、陰ながら心配していました。 政治家ですから、隠れて会って話をつけることもないわけではありませんが、総理総裁と幹事長は、表に見えるところで頻繁に会うことも大事なんです。「私たちは常に腹合わせをしていますよ」という外へのメッセージになりますから。 昼食会では、かしこまった議題は設けず、蕎麦やカツカレーなどを食べながら、よもやま話の中で党内の様子を報告しました。それまで安倍さんとはあんまり付き合いがなく、どんなことを考えている人なのかよく知らなかったのですが、いろんなことに思い入れがあって、よく考えておられるんだなと思いましたね。「谷垣さんがおっしゃったあれですけど……」と切り出されて、「これについては相当、安倍さんも考えてきたんだな」と感じたこともありました。
● 自民党員なのに執行部の制止を 振り切って小池百合子は都知事選へ 《2016年7月14日、東京都知事選が告示された。自民党の衆院議員でありながら党の了解を得ずに出馬表明した小池百合子元防衛相と、自民、公明両党などから推薦を受ける増田寛也元総務相が立候補し、17年ぶりの保守分裂選挙となった。谷垣氏ら自公幹部は増田氏の応援に入った》 小池さんは出馬表明の前から、どうも知事選に出てしまいそうな雰囲気がありました。このまま出させてはいけないということで、当時の茂木敏充選対委員長に「一緒に説得に当たってください」と言われ、小池さんに出ないよう迫ったこともありました。だけど、彼女はどうしても「出ない」とは言わなかった。そして実際に出馬してしまったんですね。 《16日朝、気分転換に趣味のサイクリングに出かけた。この日は土曜日。告示後初めての週末だった。普段は走行に集中していたが、終盤、皇居周辺で知事選のことが頭をよぎった》 あの日はどこをどう走ったのか、よく覚えていませんが、最後に皇居前に出ました。乗っていたのは、プロの選手なら時速80キロぐらい出せる自転車。でも、私は若くもないし、技術者でもないので、50キロ以上は出さないようにしていました。皇居周辺では30キロ弱で走っていたのではないかと思います。