「痛いほど分かる」「いや信じられない」。高知県南国市、「ハガキでごめんなさい」全国コンクールで見えてきた、世代による「ごめん」の変化
男性は60歳と65歳の時に2度の定年退職を経験した。その後はパートタイマーとして働き始めたという。「終活にとりかかる年齢」になり、ふと立ち止まって過去を振り返ると、懺悔しなければならないことが多々浮かんできたのだそうだ。多くの人に迷惑をかけてきたことが悔やまれたが、妻には「気づいた今から誠意を持って行動していけばいいじゃない。しっかり反省もしたうえで」と言われた。「人間は誰も一人では生きていけません。周りの人の協力や思いやりに支えられて生きていることを今、改めて感じております」などと書かれていた。 男性は「言いそびれた『ごめんなさい』」について思いを巡らせることで、「ごめん」が「ありがとう」に通じていることにも気づいたようだ。
一度落とされたハガキを、最も若い竹中さんが復活させた
世代間で受け止め方が異なるハガキは他にもある。 「祖母の弁当」とは逆で、若手には受けても、年配者には理解しにくい内容だ。しかも、驚くべき内容だった。 〈<去年担任をした2年2組のみんなへ。 中学校の教員になってから、毎年、「ハガキでごめんなさい」に応募をしていました。去年も自分のクラスの生徒に1年の振り返りもこめて学期末のバタバタした時に、2年2組に書いてもらいました。時間がない中提出期限を守ろうと、私から怒られながら、全員提出してくれました。だけどその作品たちは1年間、私の机の中…● 作品を送っていなくてごめんなさい。今年、一緒に送ります。卒業まであと3ケ月!! 一緒に頑張ろうね!!>(第18回サニーアクシス南国店賞)※●は汗マーク〉 これを読んだ時、南国市観光協会の安岡事務局長は「学校で問題にならなかったのだろうか」と心配になった。 審査では異例の過程をたどった。 コンクールに寄せられたハガキは、まず振るい落としの作業を行う。第18回には1849通届いた。これらを実行委員会の西村太利委員長、副委員長の徳久さん、コンクール事務局の南国市観光協会から安岡事務局長、そして担当職員の竹中さんの4人が集まり、じっくり2回読む。そして、「これは、ちょっと」というハガキなどを除外していく。 生徒のハガキを出し忘れた教員も、この段階で落とされた。 だが、この4人の中に1人でも「いいな」と思う人がいたら、戻すことができる。最も若い竹中さんが「これ、面白いのに」と復活させたのだった。 4人が半分ほどに絞り込んだハガキは、冒頭述べたように約30人の審査員で選ぶ。今度はそれぞれが票を入れ、多い方から残していく。この作業を2回繰り返す。 こうして選抜された約50通の中から、大賞をはじめとした20ほどの賞が選ばれる。
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