筑波実験植物園の「クレマチス園」に行ってきました。【後編】見どころの続き&ちょっと深掘り
国立科学博物館 筑波実験植物園で6月2日(日)まで公開中の「クレマチス園公開」を訪問し、【前編】〈見どころ&おすすめ品種は?〉では、クレマチス園のご担当の研究員・村井良徳さんに、カザグルマコレクションや観賞のポイント、村井さんのおすすめ品種などをお聞きしました。 【写真で見る】筑波実験植物園のクレマチスコレクション 一部を紹介! 園芸ファンのあこがれで、一度は育ててみたいという人も多いクレマチスですが、そもそもどういう植物なのでしょうか。クレマチス園では、園内に入る前にパネルで分かりやすく解説されていました。 同じクレマチスといっても多様性がきわめて豊富で、園芸植物として長く愛されてきた中で数千種にも及ぶ数多くの品種が生み出されてきました。パネルではDNAの分析ではクレマチスが大きく10のグループに分かれることが紹介されています。例えば地中海周辺のインテグリフォリア系と日本のカザグルマ、中国のテッセンなどが同じグループに含まれています。地域が離れているのになぜ? 興味と想像がふくらみます。
野生種だけでなく希少な園芸品種も保全
「植物園としては、野生種の保全が第一の目標ですが、園芸品種も保全しています。品種を保存しておけば、将来的には新たな交配親になる可能性もありますが、一度失われた品種を再現するのはとても大変です」と村井さん。 日本国内で現在流通の少ない '紅おこし'、'長良' といった品種もここで栽培されています。ここにしかないとも言われる '紫の粧' などの希少品種も。
このクレマチス園はおよそ30年前にクレマチス協会の愛好家の寄贈によりはじまったそう。10年ほど前からは村井さんが引き継いで保全とわかりやすい見せ方を工夫されてきました。「クレマチスの魅力の一つは枝変わり」という村井さん。交配ではなく、枝変わりから品種として固定されるものもあるといいます。保全されている品種から新しい花々が生み出されることも。また、枝変わりではありませんが、咲き進むにつれて外側の花弁が落ち、別の花のような風合いを見せる花も。