筑波実験植物園の「クレマチス園」に行ってきました。【後編】見どころの続き&ちょっと深掘り
「ディアマンティナ」。本来この花の雄しべが多弁化した部分には、ある程度の幅がある。写真の花はその部分がひものように細く色合いも異なるため(変異型)として紹介。外側の萼片が落ちると別の花のようになるところも魅力。
クレマチス園のモグラ&暑さ対策
村井さんがクレマチス園の担当になった当時は、大株の謎の枯死が問題になっていました。動物研究部の研究者に見せたところ、モグラがミミズを追って地中を掘り進む際にクレマチスの根を切ってしまうとのこと。プラスチック製のトリカルネットを組み合わせて鉢を作り根を覆い、被害を防いでいます。
また、近年は夏の暑さ対策が課題となっています。40℃を超える気温になるとモンタナ系など暑さに弱い種はダメージを受け、最悪は枯れ死することも。そこで、なるべく低コストで効果のある対策をと、ガーデンモス(杉の樹皮を加工した資材)でマルチングし、地温を下げる実験も行っています。
写真のAがガーデンモスなし、Bがガーデンモスを5cm厚で敷設したもので。残暑も厳しい8~9月には3~4℃程度、Bのほうが低い温度を維持できたそうです。 「土壌水分も高く保て、雑草を抑制する効果もありました」と村井さん。こういう科学的アプローチも国立科学博物館の植物園ならでは。花を楽しみながら知るポイントがいっぱいのクレマチス園でした。
取材・撮影/向坂好生 ○筑波実験植物園 コレクション特別公開 クレマチス園公開 開催期間/2024年4月27日(土)~6月2日(日) 場所/国立科学博物館 筑波実験植物園(茨城県つくば市天久保4-1-1) ※詳細は筑波実験植物園のホームページでご確認ください。