パンダはどこからやって来たのか? 白黒模様の起源と進化の謎
パンダの謎に白黒つけるのはまだ時期早尚か?
Caro博士達は今回のデータをもとにパンダの白黒模様の起源について、以下のようにまとめている(Image 3)。 1.ホワイト系は基本的に雪の多い環境に生息する哺乳類種に共通してみられる。そのためパンダの白い毛柄も、以前にこうした環境を生き延びてきた産物の可能性が高い。 2.黒い体毛は森林などに生活していた時代の名残だ。 3.この二つの異なる生活環境を比較的短い期間において生き延びたことによって、独特の白黒パターンを手にいれた。 平たく言い換えるならバニラとチョコレートが別々に作られ、パーフェクトなタイミングで両方が残り、うまい具合に交じり合って今日に至っているということだろう。
こうした一連の結論から私が推測・邪推するに、「もし北極のシロクマを本州の山岳地帯に解き放って、何千年・何万年か経てば、パンダ模様の個体及び種が誕生する可能性がある」(かもしれない)。一方、ほぼ黒一色で統一されているツキノワグマを極地に移住させれば、パンダのような個体がやがて現れるのだろうか? そして一化石研究者から言わせていただくと、パンダの化石記録から何か重要なデータが手入れられる可能性もあるはずだ。断るまでもなく骨格化石をもとに体毛を復元することはほぼ不可能だ。しかし2000万年くらい前に、パンダの直接の祖先が現れた時代は、かなり寒かったのだろうか? 高山のような場所なら雪が多くあったかもしれないが、どうだろうか? それとも温暖な森林環境に住んでいたのだろうか? 果たしてバニラが先だったのかチョコレートだったのだろうか ── 個人的に非常に気になるところではある。 しかし私が知る限りパンダの化石は今のところほとんど知られていないようだ。もしかして何処か中国の博物館の収納庫に、人知れず貴重なパンダの骨が熊の骨と間違いられたまま眠っていないだろうか? 自分で中国の山間部において、直接パンダ化石の発掘調査を行う魅力も捨てきれない。(注:1160万年前のなんと「スペイン」の地層からパンダの祖先の可能性のある化石骨格が報告されている:こちらの記事参照。) 今回の研究はパンダの進化に新たに脚光を当てるのに十分な・重要な成果を提供してくれているといえそうだ。しかしパンダの起源に隠された神秘的な陰陽思想に迫るには、まだまだ多くの隠された謎が潜んでいるようにだ。このような生物進化の神秘性をわずかでも胸に抱きつつ、週末動物園のパンダに会いに行ってみるのも一興かもしれない。