首都圏の私大入試でも「2教科試験だけの年内入試」がついに登場! 東洋大学の新入試が与えるインパクトとは?
東洋大学の新入試導入で予想される影響
東洋大学は、2024年度一般選抜の志願者数が近畿大学、千葉工業大学、明治大学に次ぐ第4位の10万2,895人にものぼる (大学通信調べ)、志願者の多い大学です。さらに言えば、東洋大学はこれまで「一般選抜での入学者の割合が多い」という特徴がありました。首都圏の主な大学で、一般選抜での入学者の割合が東洋大学よりも高いのは明治大学と駒澤大学だけでした。 このため、私見ですが、今回の「学校推薦入試 基礎学力テスト型」の導入は多方面に影響をもたらすと見ています。 ここからは「学校推薦入試 基礎学力テスト型」が12月1日に実施される影響について考えてみましょう。 「学校推薦入試 基礎学力テスト型」はどんな生徒が受験するか 1 東洋大学が第一志望の受験生が受験する 東洋大学が第一志望の受験生にとっては、「英語・国語」もしくは「英語・数学」の2教科で受験できるうえ、年内に合格を勝ち取れるチャンスが増えます。もし不合格になったとしても、2月の一般選抜で再度挑戦することが可能です。出題傾向や難易度が2月の一般選抜と大きく変わらないのであれば、志望大学対策の負担は変わりません。 このことから、多くの東洋大学第一志望者が受験すると予想できます。大学側にとっても、東洋大学第一志望者を早期に確保できるメリットがあるでしょう。 2 「GMARCH」第一志望者が併願先として受験する いわゆる「GMARCH」等が第一志望の受験生にとっても魅力があります。GMARCH第一志望者の中には、東洋大学を併願先として考える受験生が少なからずいます。 東洋大学は2024年度の経済学部の入試を2月8日~11日に実施しましたが、学習院大学、明治大学、立教大学、中央大学、法政大学の経済学部・政治経済学部の入試日に重なりました。このため、「できればGMARCH、でも東洋大学も」という受験生が8日~11日に東洋大学経済学部を受験すると、GMARCHの中で受験できない日が出てくることがありました。 それが、「学校推薦入試 基礎学力テスト型」で年内に東洋大学の合格を確保しておけば、合格発表日(12月10日)以降は、年明けのGMARCHの受験に専念できることになります。ただし、東洋大学への入学の権利を確保しておくためには、12月17日までに入学金に相当する入学手続金の納入が必要で、入学を辞退した場合でも返金されません。 東洋大学としても、GMARCH・早慶上智を併願する受験生の一部が「学校推薦入試 基礎学力テスト型」経由で入学することを見込んでいるのでしょう。この方式の最終的な入学手続日が2月28日なのは、このような期待を込めているように思います。 3 「日東駒専」等志望の受験生が受験する いわゆる「日東駒専」の一般選抜は3教科入試が主流です。日東駒専志望者の中には、学べる研究内容へのこだわりから「絶対に行きたい大学がある」という受験生がもちろん多数存在します。しかし、日東駒専に入学できれば十分満足できるという受験生も少なからず存在します。 東洋大学の「学校推薦入試 基礎学力テスト型」で年内に合格を手にした時点で、大学受験を終了する受験生が出てくれば、日本大学や駒澤大学、専修大学等の一般選抜出願者数に影響が生じるかもしれません。 4 「大東亜帝国」志望者の挑戦校として受験する 大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学という、いわゆる「大東亜帝国」といわれる大学群の一般選抜の入試教科数は、帝京大学を除いて2教科の入試方式が大半です*¹。3教科の一般選抜は自信がなくても、「国語・英語」もしくは「英語・数学」ならば自信があるという大東亜帝国志望者にとっても、東洋大学の「学校推薦入試 基礎学力テスト型」は魅力がある入試方式だといえるでしょう。 *¹ 大東文化大学の全学部統一入試、亜細亜大学の全学統一入試、国士舘大学のデリバリー選抜は2科入試。東海大学の文系・理系学部統一選抜は3教科受験後、高得点2教科で判定。いずれも2024年度入試の場合。