首都圏の私大入試でも「2教科試験だけの年内入試」がついに登場! 東洋大学の新入試が与えるインパクトとは?
国公立大学志望や、英語や数学が得意な受験生に期待
前述したように、いわゆる日東駒専の一般選抜は3教科入試が主流ですが、東洋大学では「多教科型入試」(4科目・5科目型入試)の募集人員を増やしており、2024年度一般選抜前期の募集人員構成比が15.4%であったのに対し、2025年度は17.3%まで拡大します。反対に、これまで一般選抜中期・後期で実施してきた2教科入試は2025年度から全廃します。 東洋大学は文系学部の一般選抜でも「数学必須入試」を実施しており、その募集人員は2011年度の15人から2025年度は838人へと、55.9倍に拡大しています。また、同大学の多くの文系学部での数学入試範囲は、2024年度までは「数学1・数学A・数学2」でしたが、2025年度からは「数学1・数学A(図形の性質・場合の数と確率)・数学2・数学B(数列)・数学C(ベクトル)」に拡大されます。この試験範囲は「学校推薦入試 基礎学力テスト型」も同様です。 さらに、本コラム前半で紹介した「英検®などの英語資格検定のスコアが基準以上の場合に、英語試験得点のみなし得点を与える」という制度を、一般選抜前期の全14学部で導入しています。 このように、東洋大学は一般選抜での多教科化と、英語・数学への重視を進めています。最後まで多くの教科の受験勉強を続けてきた国公立大学志望の受験生や、英語や数学の基礎学力(特に知識・技能)の高い受験生に入学してほしいという意図で、「入試は受験生への最大のメッセージである」と同大学の加藤建二理事・入試部長は話しています。 学生募集で苦しむ大学の中には、入試教科・科目数を減らしたり出題範囲を狭くしたりする大学もあります。しかし、個人的には判定教科・科目数が多い入試のほうが、学力の高い受験生が集まりやすいように思いますので、一般選抜の重量化方針は妥当だと思います。
今の受験生にとっては「コスパ」の良い入試
これまでも、首都圏で基礎学力検査型の年内入試を実施している大学はありました。桜美林大学、帝京大学、関東学院大学などです。しかし、これらの大学では志望理由書や学修計画書等の提出が必要であったり、小論文や面接が課されていたりしました。 大学で学ぶうえで自己分析をして、810ある大学の中から自分に合いそうな大学を選び、卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)を調べ、その大学の志望理由書や学修計画書を書いては推敲し、小論文や面接の練習をすることは、大学とのアンマッチを防ぐ意味で大変重要なことなのですが、それらを「面倒だ、コスパが悪い」と感じる受験生は少なくないようです。 高校時代に「探究活動」や部活動、校外の諸活動で顕著な実績を上げ、それらをアピールできる生徒が大多数というわけではありません。個人的な感覚では、「他人にアピールできるような顕彰歴があるわけではないが、英語・数学・国語の勉強はそれなりに頑張ってきた」という生徒が多いように思います。 このようなタイプの生徒は、「評定基準なし」「志望理由書等の提出不要」「面接や小論文対策不要」「併願可能」「年内で受験終了可能」の東洋大学「学校推薦入試 基礎学力テスト型」は、コスパの良い入試だと捉えるのではないでしょうか。