<CLOSE UP TEAM>ヤマハ(6年連続45回目・浜松市/東海第1代表) 常勝軍団への道【前編】
5、6月の東海地区二次予選では新チームの真骨頂を発揮する。3回戦、代表決定戦と2戦連続のサヨナラ勝ち。控え捕手でベンチに入り、仲間を鼓舞した主将の川邉健司(明大)は、バッテリーを中心とした守備の粘りがあってこそ競り勝てたという。 「1球のミスも許されない場面で投手は思い切り投げ込めていたし、代表決定戦の勝負どころで新人の西村進之介(専大)が攻めた守備でアウトにできた。若手にあのようなプレーが出ると、勢いがつきます。今後にも生きてくると思います」 勝負強さが増した投手陣をけん引しているのは、入社4年目の佐藤廉(共栄大)。今季は副キャプテンに就任し、「結果にこだわる」と意気込む。予選ではチーム最長の16回1/3を投げて4失点に抑え、エースの働きを見せた。申原監督の要求にも応え、四死球はわずか1。向上させたのは制球力だけではない。春から大胆にフォームを変え、直球に磨きをかける。きっかけはオフシーズンに1カ月間参加したアジアウインターリーグだった。台湾で一緒になったJR四国の近藤壱来投手(鳴門渦潮高)に投げ方からトレーニング方法まで聞き、冬から実践しているのだ。 「セットからワインドアップに変えたんです。以前は変化球主体でしたが、今は直球主体の組み立てに変わり、真っすぐで三振も取れるようになってきました」 球速は1キロアップしただけだが、球威は増したという。春以降、最速146キロの力強い直球は武器になっている。ひと皮むけた左腕は、前回大会の雪辱を果たすことを誓う。 「チームは準優勝しましたが、個人的には悔しい大会でした。4試合に登板し、先発は1試合だけ。しかも、すぐに降板してしまって……。今年は自分で勝てるようにしたい」
心掛けているのは、力まず投げること。気負い過ぎて失敗した昨年の反省を生かし、肩の力を抜いている。 「完封でなくてもいい。7回2失点くらいの気持ちでいきます。3点くらいは野手が取ってくれるので」 打線のキーマンとして、指揮官が期待を寄せるのは中軸を務める『1997年生まれトリオ』。三番に入る元DeNAの網谷圭将(千葉英和高)は今季、長打率7割超を誇り、JABA京都大会では3本塁打。前回大会でも東京ドームでアーチをかけた主砲は今年も健在だ。