下げたけど…金融のプロが注目!歴史的暴落を乗り越え逆行高する好業績「中小型株」とは??
■円売りボジションは解消、だが円相場の影響力は衰えず 米国のCFTC(商品先物取引委員会)が開示している、シカゴ・マーカンタイル取引所の通貨先物市場における投機筋(ヘッジファンドのこと)の円の建玉(未決済分の残高)を見てみましょう【表1】。これが長らくマイナスになってきたのは、通貨先物市場において投機筋も「円売りポジション」に偏っていたことを示しています。 ただ、この円売りの建玉が日銀会合後に急激に縮小。そして、8月13日時点ではついに「円買いポジション」に転じたことが分かります。円買いに転じたのは’21年3月8日以来のこと。投機筋もこれまで積み上げてきた円売りを超速で解消していったことが分かります。 それまで、日本株は、円安による企業の業績改善を材料として上昇していた側面が強く、このパニック的な円高が暴落につながっていったのです。足元の相場をみても、「円安・株高」あるいは「円高・株安」という連動性は高く、今後も円相場が日本株に大きな影響を与える展開が続くでしょう。 ◆過去のショックとは違うことを市場は理解 「円キャリートレード」の解消による急激な円高と株安。株価の急落に伴い、さらなる下落に備えて保険をかける機関投資家の行動により、日米で市場の価格変動の度合いを数値化した「ボラティリティ」が跳ね上がりました。 ボラティリティが急激に上昇すると、機械的に株が売られ、またボラティリティが上昇するという悪循環が一時的に発生します(ボラティリティ上昇→株価下落→ボラティリティ上昇→株価下落)。ただ、そうした動きも日米同時に短期で収束。 8月5日の暴落は何か世紀末のような雰囲気でしたが、〝何とかショック〟と名が付く過去の事例とは違うだろう……ということを市場は冷静に捉え、行動していたようでした。 ◆個別銘柄も下落から大きく戻る展開に 8月大荒れの日本株市場。日経平均株価でいえば、7月末終値3万9101円に対し、8月5日安値3万1156円まで見た後、16日時点で3万8062円まで修復しています。 あれだけのドローダウン(下落率)がありながら、7月末終値を100とした場合の現在位置は97.3。「ハイ、元通り」感も相当強い……。これは個別株でも同じことが言えます。 8月の急落時に年初来安値を更新してしまったプライム上場銘柄は、全1646銘柄中で1067銘柄(全体の65%)ありました。その中で時価総額の大きい上位10銘柄の騰落率を見てみましょう【表2】。 3月下旬に上場来高値を更新したトヨタ自動車ですら、8月に年初来安値を更新。7月末からの<最大ドローダウン(下落率)>でいえばトヨタで-26%、三井物産でも-32%というまさに阿鼻叫喚。 ただ、その横に記載されている<リバウンド力>を見ると、いずれも「ほぼ下落率と同等の反発力」を記録していることが分かります。 つまり、今回の暴落→急反発の過程で起きたことは、相場の下落局面で買う「リターン・リバーサル(逆張り)」と呼ばれる現象であると断定できそう。