海外メディアは”尾身提言”無視の東京五輪上限1万人の有観客開催決定に疑念…放映権持つNBCも「医療トップの意見と食い違う」
さらに「組織委員会は、日本で行われるその他のスポーツイベントが有観客で行われている事実も指摘している。例えば、大相撲夏場所は、先月に5000人までの観客入りが認められた。東京から北に約2時間の場所で今月初めに開催された全日本体操種目別選手権も有観客だった」と、組織委員会の“言い訳”についても追記した。 ウォールストリートジャーナルも「医師が“無観客が安全である”というアドバイスをしているにもかかわらず東京五輪の組織委員会は各イベントに上限1万人の日本人観客を許可することを発表した」と、尾身提言無視を問題視して報じた。 「7月23日の開会式に先立って、大会に関する最後の大きな不確実性をクリアにした」としながらも「3月に外国人観客は五輪観戦するために日本に旅行することは許されないと発表されていた」と付け加えた。この日の発表内容と、橋本聖子会長の「状況が非常に悪化した場合は観客なしで大会を開催しなければならない」とのコメントも紹介。「日本の感染率が低下したため、五輪に対する国民の懸念は和らいだ」とし、NHKとフジニュースネットワークによる最近の世論調査内容として「有観客」「無観客」「中止」で「意見が大きく分かれている」とも伝えた。 同メディアは「ワクチン接種数の増加により世界では有観客イベントが増えている」とし「全米オープンとPGAゴルフ選手権では、マスクをしていない大勢の群衆が目立ち、ハンガリーはユーロ2020選手権の満員を許可した。しかし、ワクチン接種が進んでいない国や政府がより慎重な国では制限が残っている」と世界の現状を説明した。 また日本のプロ野球とJリーグではマスク着用の義務化とスタジアム定員の半分の人数で観客を許可し、「観客は応援で、叫ぶのではなく、拍手するように言われている。ゲーム観戦を原因とするクラスター感染の報告はない」ことも紹介。その上で「日本の医療専門家は、五輪はより難しい挑戦であり、同時により多くのイベントが起こり、より多くの観客が遠くから旅行すると発言している。公共の場で人流が増える可能性がある」と警告した。 また尾身会長が無観客を提言。「観客が許可される場合は、厳格なガイドラインが必要である」と報告したことと、今回、有観客を決断した組織委員会が「観客には、会場へ直行直帰することと、マスクの着用、叫ばないことをお願いする」と発表したことも伝えた。