「無観客開催が望ましい」 尾身会長ら専門家有志が五輪で提言
政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長や感染症専門家ら有志は18日、政府と東京五輪パラリンピック組織委員会に対して、「大会開催に伴う新型コロナウイルス感染拡大リスクに関する提言」を提出した。提言では、(1)会場内での感染拡大リスクが最も低い無観客開催が望ましい(2)感染拡大や医療のひっ迫の予兆が察知された場合には大会開催中でも緊急事態宣言の発出などを取れるよう準備し、実行してもらいたい(3)どのような状況になれば強い措置を講じるのか早急に市民に知らせ、納得を得てもらいたい――などを求めている。
提言は26人の連名で出された。尾身会長以外にも同分科会のメンバーである岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所長)、押谷仁氏(東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授)、舘田一博氏(東邦大学微生物・感染症学講座教授)、脇田隆字氏(国立感染症研究所所長)らが名を連ねている。 また、東京都の感染状況などを分析している大曲貴夫氏(国立国際医療研究センター病院・国際感染症センター長)、1回目の緊急事態宣言(2020年4~5月)の際に「人と人の接触の8割削減」を訴えた京都大学の西浦博教授らも加わった。 提言書には冒頭、「私たちは、2020 年当初から政府や都道府県等に対し、新型コロナウイルス感染症の対策について助言してきた専門家の有志です。私たちは、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催の有無やそのあり方について、判断・決定する立場にありません」と説明。 一方、「本大会が開催されれば、国内の医療にさらなる負荷がかかる可能性があります。このため、本大会に関連するリスクの評価及びそのリスクの最小化に向けた私たちの考えを述べることが責務だと考え、提言をとりまとめました」と経緯を記した。