中国の海警法は「国際法違反になり得る」前原氏が菅首相の見解ただす
衆院予算委員会は17日、集中審議を行い、国民民主党の前原誠司氏が中国の「海警法」をめぐって菅義偉(よしひで)首相の見解をただした。 【全編動画】衆院予算委 首相出席でワクチン接種など集中審議
菅首相「国際法との整合性で問題ある規定含む」
中国では2月1日に同国海警局の武器使用などを規定する海警法が施行された。前原氏は、同法の第22条を問題視した。そこには、海上で国家主権などが「不法侵害を受けつつあり」「差し迫った危険に直面している」時は、「武器使用を含むあらゆる必要な措置を講じて侵害を阻止し、危険を除去する権限を有する」と記されているという。 前原氏は同法が外国の軍艦や公船を武器使用の対象から除外していないことなどを挙げ、「中国に遠慮する必要はない。国際法違反になり得ると明確に言うことが大事だ」と菅首相に迫った。 首相は外務省の見解を踏まえながら「(海警法は)あいまいな適用海域や武器使用権限など国際法との整合性との観点から問題のある規定を含む。我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならない。こうした我が国の強い懸念を中国側に引き続きしっかり伝えていきたい」と答えた。
前原氏はこうした海域での「切れ目のない対応」の重要性も強調した。「中国はどこが管轄海域かを明示していないが、おそらく第一列島線の内側、つまりは南シナ海と東シナ海の全域を考えているはず」だと指摘。旧民主党と維新が2015年に提出した、いわゆる「グレーゾーン事態」に自衛隊が対応できるよう定めた領域警備法案のような法整備を検討するべきだとした。 「一義的には海上保安庁が対応するべきだと思うが、絶対に日本の固有の領土を守るためには国の資源を総がかりで対応するんだと、日本の国家の意思を中国に示すことが大事だ」 それに対し、菅首相は「武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない対応を十分行うために大型巡視船の整備など、警察機関、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、我が国の領土・領海・領空を断固として守るとの方針のもと、冷静にかつ毅然と対応していきたい」と述べた。