キャッチアップ接種の期限迫る!10代・20代で知っておきたい子宮頸がんとHPVワクチンのこと【医師解説】
海外の接種率は高い! 90%以上の国も
厚生労働省によると、2021年度の日本国内のHPVワクチン実施率は、対象年齢の女性の26.2~37.4%。一方で、カナダ、イギリス、オーストラリアなど対象年齢の女性の80%以上がワクチンを受けている国もある。 「例えばオーストラリアでは、ワクチンの接種率は80%を超え、検診の受診率も高く、2028年には子宮頸がんが撲滅されるだろうと推測されています。これはオーストラリアに限らず、どの国でもできるはずだと思います」 HPVワクチンは、WHO(世界保健機関)による推奨をうけ、2022年12月時点で120カ国以上で公的な予防接種として広く接種が行われている。 【HPVワクチンを接種した女子の割合(2021年)】 カナダ:87% イギリス:83% オーストラリア:82% アメリカ:61% ドイツ:47% (出典:厚生労働省)
国内での積極的な接種推奨も再開!
日本では2013年4月に、小学6年~高校1年の女性への定期接種が始まったけれど、接種後の痛みや副反応疑いの報道が相次いだことをうけ、積極的な接種の推奨を一時差し控えることに。それから8年経った2022年4月より、厚生労働省が積極的な接種の勧奨を再開。がん予防効果に関する海外の調査結果も、議論を後押しした。 「HPVワクチンによって、前がん病変の予防ができるというデータは何年も前から世界中で出ていたのですが、2020年にスウェーデンの研究機関から、HPVワクチンが子宮頸がんの発症リスクも下げることができるというデータが出されました。それによると、10~30歳の女性約167万人を調べた結果、17歳未満での接種で、子宮頸がんの発症リスクを88%下げられる、というもの。 安全性に関するデータが蓄積され、それによって報道のありかたが変わってきたことで国民の理解も進み、積極的な接種推奨の再開にむけて国が動きだしたのではないかと思います」
キャッチアップ接種の期限が迫る。2024年9月までに1度目の接種を
2013年から2021年のあいだ、HPVワクチンの積極的な接種が差し控えられていた期間に、接種の対象であった人(小学校6年~高校1年相当)には、HPVワクチンが公費で接種できる“キャッチアップ摂取接種”の機会が設けられている。 キャッチアップ接種の対象: 対象となるのは、誕生日が1997年4月2日~2008年4月1日の女性(平成9年度生まれ~平成19年度生まれ)で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない人。 キャッチアップ接種の期限: キャッチアップ接種の期限は、2025年(令和7年)3月まで。3回分すべて接種するのに約半年かかるため、2024年9月までに1回目の接種を! ※15歳未満で9価HPVワクチンの接種を開始する場合は2回でOK 接種を受けるための手続き: 具体的な接種方法は、住民票のある市町村から届くお知らせを参照して。 「今の高校1年生は、来年になると無料で接種できなくなります。今年(2024年)9月までに接種を開始しましょう。また、15歳未満で9価HPVワクチンの接種を開始すると、3回ではなく2回で済みますので、併せて検討してください」