楽しくできることを仕事にして、経済的に自立する。バングラディシュの女性に伴走した40年間の話
現金収入を得て自立しよう!女性 16 人を連れて都会へ。 地元では前代未聞の大事件
「この刺繍なら自立ができる!」そう直感した馬上さん。販売に適した技術習得のため、首都であるダッカで研修を受けてもらうことに。当時、女性が2週間も家を離れるなどありえないという土地柄でした。 まずは彼女たちの父や兄を1か月かけて説得することからスタート。困難でも何とか説得できたのは、彼女たちの「やってみたい」という意思を感じたからと言います。 「女性の社会的位置づけがあまりに低くて、一人ひとりに悲惨なストーリーがありました。話を聞くうちに一生懸命になっちゃったんです」 活動当初は、与えられた布に刺繍をしての納品。現在では糸から草木染めをし、商品に仕上げるところまで女性たちが行います。それを適正価格で販売することで、対価を得ています。
刺繍とともに走り続けて40 年。文字さえ読めなかった女性たちは今やリーダーに
現金収入を得ることの意味は大きく、栄養状況を向上させたり、トイレの設備を整えて衛生面の改善をしたり。子どもに教育を受けさせることも可能になりました。 女性たちの中からリーダーとなってメンバーをまとめる人材も育ってきました。 「文字や時計も読めなかった人が変わっていきました。知識を得ると目がどんどん輝いていって」。 一過性の施しではなく、自立を助ける。それが馬上さんが目指した支援でした。刺繍は家族のそばで楽しく、穏やかにできることだから無理なく続けられてきた。 バングラデッシュの女性たちに、40年以上もの年月並走して「毎日がずっとフル回転」と話す馬上さん。その笑顔から、ご自身も心豊かに楽しく活動を続けてきたことが伺えます。 撮影/砂原文 取材・文/加藤郷子 企画・構成/飯塚真希(サンキュ!編集部)
サンキュ!編集部