大学3年で「閉じこもり」に…精神疾患を発症した息子が、支えてくれる母親に告げた「奇跡の一言」
精神疾患を発症する可能性は誰にでもある。社会人だけではなく、成人前の子どもが見舞われることもめずらしくない。大切な我が子がある日「閉じこもり」になり、医師から「うつ病です」「統合失調症です」と診断されたとき、親はどうすればいいのか。新刊『発達障害・精神疾患がある子とその家族が もらえるお金・減らせる支出』を刊行した青木聖久教授(日本福祉大学)による特別記事をお贈りする。 【画像】死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由
子どもに必要なのは「愛情貯金」と「生活の資」
精神科病院や地域の作業所など、精神保健福祉の現場で約18年にわたって精神疾患・発達障害がある人やその家族と伴走する仕事をしてきた私は、2006年、日本福祉大学で教員として働き始めました。「情報を発信することで当事者・家族を応援したい」と考えての転身です。 現在は論文や記事、書籍の執筆とともに各地で講演を行ったりもしていますが、数年前には、保育所の保護者を対象に次のようなことをお伝えしました。 「長い人生のなかで何が起こるかは、誰にもわかりません。私は長年、精神保健福祉分野で仕事をしてきましたが、大切な我が子が精神疾患にかかるリスクも、もちろんあります。しかし、リスクのことばかり考えていては毎日がつらくなるばかりです」 「びくびく心配を重ねるよりも、もっと大切なことがあります。それは我が子に向き合い、愛情をいっぱい注ぎ、親子で多くの泣き笑いを共有することです。言い換えると、『愛情貯金』をしてほしいのです」 「愛情貯金がたくさんある子は、人の優しさや社会生活の楽しさを身を以て知っています。そういう子は、大きな困難にぶつかって悩み苦しむことになっても、最後にはトンネルを抜け、自らを慈しみ、周囲を信じ、未来に向かって生きていけるようになります……」 この愛情貯金が、私が最も届けたいメッセージでしたが、もうひとつ、保護者のみなさんに伝えたいことがありました。人生に愛はもちろん必要ですが、もうひとつ、生活の資も不可欠。すなわち「お金」も必要です。 ライフステージの変化や、あるいは子どもが精神疾患を抱えることになり、少しでも多くのお金が必要になったとき、親はどうすればいいでしょうか。私はまず「制度」を知り、使ってほしいと思っています。 国民を経済的に支援する制度にはいろいろあります。ですがそのなかでも、子を持つ親に絶対に知っておいていただきたいのが「手当」の制度です。なぜなら我が国には、親であれば受給できる手当が誰にでも必ず1つはあるからです。