【富士山女子駅伝の展望】「名城vs.立命館」が中心か、大東文化には爆発力 不破聖衣来の走りも注目
来春の箱根駅伝を残すのみとなった男子大学駅伝界は、国学院大が出雲、全日本に続く三冠達成へ王手をかけ、「青山学院大vs.駒澤大」の2強時代に完全に風穴を開けた。その一方、女子大学駅伝界でも「6年連続二冠」を達成していた名城大が、7連覇中だった『全日本大学女子駅伝』(10月27日)で敗れ、代わりに立命館大が9年ぶりの優勝を飾った。迎える二冠目、12月30日の『富士山女子駅伝』では、どのようなレースが展開されるのだろうか。 【写真】不破聖衣来はこちら 名城大にとっては“まさか”のレースだった。メガネのキャプテン・谷本七星(4年)を中心に1年生時から優勝に貢献してきた米澤奈々香(3年)、石松愛朱加(3年)など人材は揃っていた。現に、前年の同大会は3年生以下の6人が走っての優勝だったのだ。だが、今年は1区で米澤が脱水症状に苦しんで9位と出遅れると、巻き返しが期待された2区以降の面々も平凡なタイムに終わり、アンカー・谷本の執念の2人抜きも虚しく、4位に終わった。 夏に故障者が続出した影響が少なからずあり、先行逃げ切りで勝ち続けてきたことで“追いかけるレース展開”に慣れていなかったこともある。だが、レース後の名城大・米田勝朗監督は「取り組みが甘くなっていた」と、ここ数年にわたってチームの問題点を語った。盛者必衰の理の通り、徐々にチーム内部から隙が生まれて負ける時がやって来たのだ。だが、その“負け”によって、失いかけていた「勝利への貪欲さ」がチームに生まれている。2カ月の間で各選手の調子も上がっている。個々の能力、チームの総合力を考えると、『全日本』のリベンジを『富士山』で果たす可能性は十分にある。 その名城大に立ちはだかるのは当然、『全日本』を大会新記録で制した立命館大だ。常に上位争いを繰り広げながら長らく名城大の牙城を崩せずにいたが、高校時代から注目を集めて昨年からキャプテンを務めるエースの村松灯(4年)が最終学年となった今年は、個人能力の高い選手が揃ってチーム力が非常に充実している。