俳優・西田敏行さん「虚血性心疾患」で逝去 突然死が起こる前兆を医師が解説
日本を代表する名俳優の西田敏行さんが、10月17日に自宅で亡くなっていたことが公表されました。76歳でした。 【イラスト解説】虚血性心疾患と関連深い「心筋梗塞」のリスクが高い人の特徴 死因として公表された「虚血性心疾患」は突然死することも多く、日本人の死因の約5%を占める疾患です。今回は、「虚血性心疾患が起こる前に前兆はあるのか」にフォーカスを当て、医師の佐藤先生に詳しく伺いました。
「虚血性心疾患」とは?
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓などによって心臓の冠動脈が狭くなったり、閉塞したりすることで、心臓の筋肉へ血液がいかなくなることで起こる病気です。狭心症や心筋梗塞などが虚血性心疾患に分類されます。 狭心症は、冠動脈が動脈硬化などにより狭まり、心筋に十分な血液供給ができなくなり、それによって胸部に痛みが生じる状態です。一方、心筋梗塞は、血管内のプラークが破れ、血栓が形成されることで冠動脈が閉塞します。 心筋梗塞では、壊死した部分が拡大すると生命に危険が及ぶ可能性があり、早急な治療が必要となります。
虚血性心疾患で突然死する前兆
虚血性心疾患によって突然死する場合もありますが、その前兆として初期症状が出ることが多いです。この章では虚血性心疾患で突然死する前兆の初期症状について解説します。 「運動で胸が痛くなる」 虚血性心疾患では、運動など負荷がかかっていると、胸の痛みが出たり、圧迫感を感じやすくなったりします。これは血流量が安静時よりも運動時の方が必要になることが原因です。 このような症状がある場合はなるべく安静にし、できるだけ早めに内科、特に循環器内科を受診するようにしましょう。 「胸や肩の痛み」 虚血性心疾患では、胸や肩の痛みを生じることがあります。その他にも歯に痛みを感じることもあります。数分程度で治まることもありますが、痛みを繰り返したり、数分以上続いたりする場合は、できるだけ早めに内科や循環器内科を受診するようにしましょう。
虚血性心疾患で突然死する原因
虚血性心疾患は突然死の原因となることがあります。この章では、虚血性心疾患で突然死する原因について解説します。 「心筋梗塞」 心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈が血栓等によって閉塞し、心筋が壊死してしまう病気です。心筋が壊死すると、心臓のポンプ機能が低下し、場合によっては心停止に至り、突然死を引き起こします。 特に、激しい胸の痛み、強い圧迫感や締め付けられるような痛みがあり、数分以上続く。また、息苦しいため、呼吸ができない、意識がなくなる、ぼんやりする場合は、一刻も早く救急診療科や循環器内科を受診するようにしましょう。 「虚血性心不全」 虚血性心不全は、心臓から送り出される血液量が少なくなったり、末梢血管から心臓に血液が戻る力が弱くなったりする状態です。症状は息切れや疲れやすい、倦怠感、浮腫などがあります。 虚血性心不全で突然死することは多くありませんが、虚血性心不全の原因は動脈硬化や高血圧であり、心筋梗塞と共通するものもあります。そのため、虚血性心不全の状態に心筋梗塞が合併すると、突然死に繋がる恐れがあります。 息切れなどの症状があれば、一刻も早く救急診療科や循環器内科を受診するようにしましょう。 「致死性不整脈」 致死性不整脈は、緊急での治療を要する危険な不整脈です。心室細動や心室頻拍も致死性不整脈であり、発症後すぐに意識がなくなったり、突然死の引き金になったりすることもあります。この場合も一刻も早く救急診療科や循環器内科を受診する必要があります。