「フェミニズムと映像表現」展が東京国立近代美術館で開催中。作品を通して考える、ジェンダー格差のある社会構造の問題点とは
作品同士の共通点から浮かび上がる、世界のフェミニズム
本展を通して印象的だったのが、異なる国のアーティストが同時期に共通するテーマで作品を作っていたことです。家父長制などはアジアの家庭に特に根強く残っている概念だという認識でしたが、展示されていた欧米のアーティストでも似たような課題に対して作品で問題提起をしている人がたくさんいることに気が付かされました。しかし、一方でそれらのアーティストは人種や国に偏りがある印象も持ちました。今回の展示では白人のアーティストと東アジアのアーティストが扱われていましたが、他のフェミニズムに関連する展示を思い出しても、同じような傾向があります。今回の展示が似た共通点を持って作品同士がつながっていたのも、もっと多様な文化圏のアーティストが混ざったら成り立たなかったのかもしれないな、なんて考えてしまいました。 とはいえ、1970年代に当時はまだ主流ではなかったビデオという手法を用いて、女性たちが社会で置かれている現状に問題提起を投げかけた前衛的な作品が並んでいる非常に面白い展示です。 人の少ない午前中に訪れてゆっくり鑑賞したり、週末は夜まで開いているので仕事帰りやお出かけ帰りに訪れて鑑賞したりするのもおすすめです。 フェミニズムと映像表現 期間:9月3日(火)~12月22日(日) 場所:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1) 開館時間:10:00–17:00(金曜・土曜は10:00–20:00、入館は閉館30分前まで) 入館料:一般 500円、大学生 250円(金・土曜は17時から割引 :一般 300円、大学生 150円) 公式サイト:https://www.momat.go.jp/exhibitions/r6-2-g4 イラスト・取材・文/くどうあや