「J3レベルではない」逸材ピッチで号泣…“右利きの名波浩”が悔恨、昇格叶わず悲劇の幕引き【コラム】
J2昇格プレーオフの決勝で富山に敗れて昇格を逃した松本山雅
松本山雅FCは2021年以来のJ2復帰へあと一歩と迫っていた。2010年代に日本サッカー協会技術委員長を務めた霜田正浩監督が就任して2年目となった今季はJ1経験豊富なMF山本康裕、DF高橋祥平らベテランを獲得。指揮官のレノファ山口FC時代の秘蔵っ子であるFW高井和馬、昨季J3で2桁ゴールをマークしたFW浅川隼人、FW安藤翼らを補強し、戦力的にはJ3随一と見られていたが、序盤から攻守のベストバランスを見出せず、中位をウロウロする展開を強いられた。 【動画】「地域で根付いている証」 元日本代表OBも絶賛した松本山雅の圧巻サポーター ギリギリのところまで追い込まれた10月26日のY.S.C.C.横浜戦から、それまでの4-3-3から3-4-2-1へと布陣を変更。守備的な戦い方にシフトしたことでチーム状態が改善し、終盤の5連勝でなんとか4位を確保し、今季からスタートしたJ2昇格プレーオフの出場権を得た。 福島ユナイテッドを本拠地・サンプロアルウィンに迎えた12月1日の準決勝に1-1で引き分けて進んだ7日の決勝。今度はリーグ3位だったカターレ富山のホームである富山県総合運動公園陸上競技場に乗り込んだ。MF安永玲央とMF樋口大輝が前半のうちにゴールを決めて2点を先行。最高の流れで後半に突入したが、昨季も3位で涙を飲んだ富山はしぶとかった。ラスト10分を切ったところで左クロスから地元・富山第一高出身のFW碓井聖生に巧みなヘディング弾を決められて1点差に詰め寄られた。 ここで松本山雅は1点を守り切る戦いへと完全にスイッチする。“クローザー”のベテラン橋内優也ら守備要員を投入し、ゴール前に人数を割いたが、後半アディショナルタイムにまさかの出来事が……。またもクロスから碓井に打点の高いヘッドをお見舞いされた。橋内とGK大内一生が反応したものの、止めきれずにゴールが決まってしまったのだ。 結局、2-2でタイムアップの笛が鳴り響き、勝利が絶対条件だった松本山雅のJ2復帰に夢は潰えた。キャプテンマークを巻いて今季32試合に出場し、6ゴールと奮闘したMF菊井悠介もピッチに倒れ込んで号泣。失意のどん底を味わったのだ。