「フロントの正式説明を求む…」一部サポの白紙撤回要求も通らずアビスパ福岡新監督に金明輝氏が正式就任発表でSNSが大荒れ
J1のアビスパ福岡は13日、来シーズンの新監督にサガン鳥栖の元監督で、今シーズンまでFC町田ゼルビアのヘッドコーチを務めた金明輝氏(43)が就任すると発表した。鳥栖時代に複数のパワーハラスメント行為が認定された金氏を巡っては、有力候補と報じられた11月上旬に福岡のサポーター団体が白紙撤回を要求。前代未聞の騒動が起こっていたなかで、金氏を招聘する理由や経緯などに何も言及しないまま強行発表に踏み切った福岡に対して、SNS上で再び批判が集中している。 【画像】最終決戦でJ連覇を決めたヴィッセル神戸のウイニングショット
今シーズンのJ1リーグを12位で終えてから5日。福岡で一時代を築きあげ、前日に川崎フロンターレの新監督就任が発表されていた長谷部茂利氏(53)の後任監督として、批判の渦中にいた金氏の就任が正式に発表された。 13日夕方に更新された福岡のクラブ公式HPを通じて、金新監督はファン・サポーターへこんなメッセージを届けている。 「クラブ創設30周年を迎える節目の年に携われること、J1で確固たる地位を築き、活気あふれる福岡の街で躍進するアビスパ福岡の監督に就任できることを心から嬉しく思うと同時に計り知れない責任も感じております。長谷部前監督が築き上げた強固な守備と力強い攻撃をベースにしたチームを引き継ぎ、攻守両面でさらなる強化を図り、クラブ、選手、チームスタッフ一丸となって一つでも多くの勝利をファン、アビスパ福岡サポーターの皆様に届けられるよう、皆様と心を一つに戦う所存です」 さらに金氏は、福岡の新監督として一部スポーツ紙で自身の名前が報じられて以来、鳥栖監督時代のパワハラ歴を踏まえて、ファン・サポーターから批判を浴びせられてきた状況に対しても、次のように言及している。 「そしてこの度は、私の就任にあたり皆様をお騒がせしていることを大変申し訳なく思っております。今回のお話をいただき、私自身熟考の末、強い覚悟と責任感を持って、決断いたしました。皆様に信頼していただけるように、言動やピッチで躍動する選手達を見ていただけるように日々全力で取り組みます」 福岡は11月3日の柏レイソル戦で勝利して、4シーズン連続のJ1残留を決めた。そして一夜明けた4日に、今シーズン限りでの退任がすでに発表されていた長谷部前監督の後任として、金氏の就任が決定的になっていると報じられた。 この動きに即座に反応したのが、福岡で最大規模を誇るサポーター団体のウルトラオブリだった。公式X(旧ツイッター)上で「後任監督人事の報道について」と題した緊急声明を発表し、そのなかで福岡に対して異例ともいえる抗議を展開した。 「一部マスメディアにて報道されておりますアビスパ福岡の後任監督候補につきまして、我々ウルトラオブリはクラブに対して慎重な判断を求めます。(中略)現在報道されている監督人事には疑問を抱かざるをえません。(中略)これからもクラブの根幹である理念を大事にし、アビスパ福岡を応援する全てのステークホルダーが胸を張って後押しができるクラブであって欲しいと切に願います」 金氏を巡っては鳥栖の監督だった2021年夏に、練習中に所属選手を足払いで倒したとして、リーグ戦3試合の指揮資格停止処分を受けた。金氏自身は同年の年末に突然退団したが、その前後のJリーグ調査で、鳥栖のU-18監督時代に当時の高校生に対する数多くのパワハラ行為も含めた、生々しい実態が数多く報告された。 一連の行為を問題視した日本サッカー協会(JFA)は翌2022年3月に、金氏が保持していた最上位の公認指導者S級ライセンスを、ひとつ下のA級コーチジェネラルへ降級させる前例のない厳罰を課した。さらに指導者資格そのものを1年間停止させ、JFAが定める社会奉仕活動や研修への出席も義務づけた。 金氏は昨シーズンに町田のヘッドコーチに就任。高校サッカーの強豪、青森山田高から転じた黒田剛監督(54)を主に戦術面でサポートしながら、今年2月には約1年をかけてS級を再取得していた。福岡の指揮を執るうえで資格面での支障はなくなっていたが、ウルトラオブリをはじめとするサポーター団体から拒絶反応を示された。